<楽天4-3ソフトバンク>◇8月31日◇コボスタ宮城

 悪夢の8月最終日だ。ソフトバンクが勝利寸前の9回、途中出場の城所龍磨外野手(28)が痛すぎる適時失策。これで同点とされると引き分け寸前の延長12回には森福允彦投手(28)が踏ん張れず、今季5度目のサヨナラ負けを食らった。敗れた2位オリックスとの1・5ゲーム差を引き離せず。明日2日からの首位攻防3連戦を前に、嫌なムードが漂った。

 1つのプレーが命運を分けた。打球をスルリ、ソフトバンクの勝利もスルリ…。秋山監督は「状況判断ができていない。勝ってての状況判断。バッテリーも守備も。状況判断が左右する」。同じフレーズを繰り返し、さすがにあきれたような顔。問題のシーンは1点リードの9回だった。

 この回から左翼守備に城所が就いていた。1死一塁から楽天銀次の打球はフラフラと左前へ。城所はダイレクト捕球を試みたのか、猛然と突進したが、体に触れることもできずに後逸。まさかの同点を許してしまった。08年から昨年まで6年連続で守備率100%。そんな名手は「僕のせいなんで…」と小さくしぼり出すのがやっとだった。

 「難しくない。何でもない当たり。普通のレフト前ヒットでOK。無理することはなかった。何を血迷ったのか」。笘篠外野守備走塁コーチが厳しい言葉をつないだのも無理はない。それほど痛すぎる今季2個目の失策だった。城所は8月23日ロッテ戦でも似たような場面を作っていた。9回2死一塁から岡田の左中間への浅い飛球を止めきれず。記録は安打で失策ではなかったが、中田の完封を消してしまっていた。試合終盤の守備や代走など厳しい場面での出場が多いが、これを乗り越えないと信頼感は失われてしまう。

 流れを渡すと強烈なしっぺ返しが待っていた。延長12回に5番手の森福が、2死二塁から松井稼に中越えのサヨナラ打を浴びた。先頭四球も併殺打で2死走者なしとしてからの悪夢だった。こちらも「何もないです」とバスに乗り込んだ。

 最下位楽天に連敗。ここ5カード連続で勝ち越しなしと波に乗りきれない。8月が終わり、迎えるは勝負の秋。今後は1球、ワンプレーの重要性が増してくる。プレッシャーをはねのけ、明日2日からの首位攻防戦で一丸の勝利をつかむしかない。【大池和幸】