<楽天5-4オリックス>◇8日◇コボスタ宮城

 楽天のケイ(K)がチームを救った。1点を追う9回無死一塁、松井稼頭央内野手(38)がサヨナラ2ランを放った。カズオ(K)の打球は、ぐんぐん伸びていった。オリックス平野佳の初球149キロ。外のコースを狙った高速サーブを「力負けしないように」と打ち返した。左翼坂口が天を仰ぐ。ポール際へ、豪快なリターンエースを決めた。

 「まさかでしたね。最高ですね!

 前の打席で三振していたので、追い込まれないように初球から積極的に振った結果です」

 先月31日のソフトバンク戦に続くサヨナラ打。またもや、チームメートにスポーツドリンクをかけられ、ユニホームはびしょびしょ。Tシャツに着替え、お立ち台で「できれば水でお願いします」と、染みる目をしばたたいて喜んだ。

 世界を驚かせたケイに刺激を受けた。全米テニスで、錦織圭が決勝進出。メッツ時代、本拠地の隣が全米テニス会場で、興味を持っていた。錦織の快挙に「すごいの一言。4時間も戦う。精神力、体力、全てがそろわないと、あのプレーはできないでしょう」。オフの自主トレでは、瞬発力と下半身強化のためにテニスを取り入れている。野球とは異なる過酷さを知るだけに、心から敬意を示した。

 精神力、体力がそろっているのは、楽天のケイも同じだ。7月頭から1番に座り、打線を引っ張っている。8月は月間MVP。来月に39歳の誕生日を迎えるが、勢いは止まらない。チームも3連勝で、5位ロッテと0・5差。ついに最下位脱出が見えた。ただ、松井稼は「まだまだ先がある」。ひとつでも順位を上げるつもりだ。【古川真弥】

 ▼松井稼が12年9月24日ソフトバンク戦以来、2年ぶり通算5本目のサヨナラ本塁打。サヨナラ安打は8月31日ソフトバンク戦以来、今季2本目で通算11本目。パ・リーグで11本は、野村克也19、広瀬叔功14、清原和博13、藤井康雄12、中村紀洋12本に次ぎ、田中幸雄と並んで6位タイとなった。