<阪神7-3中日>◇20日◇甲子園

 昼間のメッセ、快投するのは朝メッシ前!

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)は前夜の寝不足がたたり、得意のデーゲームで大苦戦。それでも6回2失点にまとめ、自己最多、ハーラー単独トップの13勝目をつかんだ。6奪三振を重ねてシーズン218奪三振と、こちらは追う者なし。上戸彩も顔負けの昼ガオー・メッセの前に相手球団よ、静かに眠れ-。

 秋の夜長にメッセンジャーは物思いにふけっていた。前日19日。ベッドに横になったはいいが一向に、眠気が襲ってこない。考えれば考えるほど、頭はさえてくる。時計の針は午前3時45分を回った。米国に住む家族は元気だろうか。単身赴任中のパパには心配事が多かった。20日はデーゲームで先発。練習開始は午前10時だ。意識が薄れたと思うと、もう朝になった。カフェインを飲むのも性に合わない。5勝無敗だった大好きなデーゲームも、少しだけ気分が違った。でもKOはされない。8安打に5四球を与えながら、6回2失点でまとめた。気付けばハーラー単独トップ、そして自己最多となる13勝目をゲットしていた。

 「最高だね。自分に勝ちがつけばもちろんいい気分だよ。でも今日はたくさん点を取ってくれた野手のみなさんに感謝だよ」

 1回に失策が絡んで1点の先制を許した。3回には藤井に同点ソロを右中間に運ばれた。「調子はよくなかった。ちょっと眠たかったんだ」。今ごろ襲ってきた睡魔が、自慢の直球をふらつかせた。それでも「一番よかった」フォークを自在に操ってゲームメーク。3者凡退は1度もなかったが、3回に勝ち越した後は追加点を許さなかった。

 来日5年目で新たな勲章も手にした。3回1死一、二塁で高橋周から空振り三振を奪い、日米通算1000投球回数を達成。花束を受け取ると、目が覚めるような大歓声に手を挙げて応えた。日本1年目、2010年の来日当初は中継ぎ。想像もしていなかった大台だった。低い声のまま率直に感想を並べた。

 「多いね。球数もすごいんだろうね。チャンスを与えてくれたタイガースに感謝したい」

 自身初となるシーズン200イニングにも、あと4回2/3と迫った。貯金も4、作っている。眠たくても勝てる。ちなみに気にしていた総球数は…日本5年の818回2/3で1万3504。これだけのヒツジを数えなくても、今夜はゆっくり寝られますように。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーが自身最多の13勝をマーク。阪神投手のシーズン13勝以上は、10年久保14勝以来4年ぶり。外国人投手に限れば、バッキーの64年29勝、65年18勝、66年14勝、67年18勝、68年13勝、ゲイル85年13勝、キーオ89年15勝以来、25年ぶり4人目、8度目。また今季デーゲームで7試合に登板し6勝0敗、防御率0・67。このうち甲子園では5戦5勝、40イニングで自責点1の防御率0・23と圧倒的な強さを誇る。