日本ハム金子誠内野手(38)が今季限りで現役引退することが26日、分かった。今日27日に正式表明する。93年ドラフト3位で入団し、日本ハム一筋で21年間。近年は世代交代の波にのまれ、出場機会を失ったこともありユニホームを脱ぐ決意を固めたもようだ。東京ドームに本拠地を置いた時代から常にレギュラーの二塁手、遊撃手と内野の要。北海道に移転後は日本一1度を含む4度のリーグ優勝に貢献した。持ち前の堅守を含め、献身的プレーでファンに愛された仕事人が野球人生に終止符を打つ。

 生え抜きの功労者が、静かに身を引く決意を固めた。ベテラン金子誠が今季限りで現役を退くことが分かった。この日までに首脳陣を含め、チームメートらにも自ら意向を伝え、ケジメをつけた。札幌ドーム5連戦の皮切りとなる今日27日西武戦で、正式に表明。西川、中島の成長など内野陣に世代交代の拍車がかかった今季は26日現在で14試合出場にとどまり、引き際と定めたようだ。

 近年の躍進を支えた1人だ。93年に常総学院からドラフト3位で入団した。東京ドーム時代の3年目の96年に新人王を獲得。98年から2年連続でゴールデングラブ賞、99年にはベストナインとパ・リーグを代表する二塁手として台頭した。強肩を生かし、局面に応じた適切なポジショニングによる堅守。犠打を含めた自己犠牲をいとわない戦力を読んでの巧打。残した数字以上に価値ある、玄人肌のプレースタイルで不動のレギュラーの座を確立した。

 02年からチーム事情で遊撃手へ転向したが、チームの第一線を張り続けた。04年にはアテネ五輪に日本代表で出場。06年には選手会長に就任し、自身の悲願だった25年ぶりリーグ制覇を果たし、44年ぶり日本一へと上り詰めた。翌07年には主将を兼務して、球団史上初のリーグ連覇も達成。北海道に地域密着への礎を築いた。若手へと世代交代が進んでいく中でも「一緒に汗をかいて練習、プレーをする」との信念で、晩年も進化を遂げた。09年には21年間で唯一、自身初の打率3割もマークした。

 ここ数年は故障とも闘いながらの現役生活だった。10年には両アキレスけん痛など複数のアクシデントに見舞われた。12年オフには左膝を手術した。昨季は32試合出場にとどまり「今年でクビかな」と1度は腹をくくり、不退転の思いで臨んでいたのが今季だった。2軍暮らしが長く、満身創痍(そうい)でも「体は元気なんだよね」。若手が一目置き、模範となる練習姿勢で、最後の最後まで再起にかけてきた。チーム方針もあり、その願いはかなわなかった。総合的な観点から、潔く進退を決めたようだ。

 球団側は10月1日楽天戦を「引退試合」に設定するもよう。愛され続けた本拠地ファンに見守られながら、プロ人生のケジメをつける。「あまのじゃく」と自負する言動、プレーで沸かせた武骨で、無頼派の硬骨漢。いぶし銀の輝きで球団史を彩った「レジェンド」が、また1人去る。

 ◆金子誠(かねこ・まこと)1975年(昭50)11月8日、千葉県生まれ。茨城・常総学院では3季連続甲子園出場。93年ドラフト3位で日本ハム入団。3年目の96年に打率2割6分1厘をマークして新人王。98年には二塁手として史上最年少でゴールデングラブ賞、同賞は99、09年にも獲得している。99年ベストナイン。オールスター出場3度(02、04、09年)。04年アテネ五輪出場。今季推定年俸6800万円。185センチ、84キロ。右投げ右打ち。