巨人は1日、東京・大手町の球団事務所でスカウト会議を行った。全体の指名候補として47選手、1位指名候補の12選手を絞り込んだ。1位指名の有力候補として、智弁学園・岡本和真内野手(3年)が挙がった。岡本は長打力が魅力の高校生NO・1野手。即戦力投手の早大・有原航平投手(4年=広陵)とともに、リストに入った。

 巨人が着目しているのは早大の本格派右腕・有原だけじゃない。約3時間の会議を終えた山下スカウト部長は「今年は菅野のような存在がいない。即戦力か、将来性か。今の段階で『だれ』かは白紙です。(指名は)さまざまなケースがある」と、具体的な名前を避けた。

 ケースに応じたシミュレーションに時間を割いたとみられる。即戦力を選択した場合は、有原が1位指名の最右翼になる。年初のスカウト会議から1位候補として挙げ、マークを継続している。将来性に重きを置く判断をした場合、奈良の怪童・岡本が1位指名の筆頭候補とみられる。

 スケールの大きさは、今年のドラフト候補の中でも群を抜く。身長183センチ、体重95キロ。高校通算73本塁打のスラッガーは、長打力と確実性を兼ね備えている。今夏の奈良県大会では、通算打率5割5分6厘をマークした。フォロースルーの大きさと、リストターンの柔らかさ。有原と同様、評価は一貫して高い。

 会議では12人の1位候補者を選んだ。岡本、有原の他には盛岡大付・松本らが含まれているとみられる。投手の指名を優先して考慮することは、普遍のドラフト戦略といえる。一方で、右打ちの強打者である岡本に注目することもまた、巨人の伝統的なドラフト戦略といえる。

 鍛錬を積んで主力選手に成長すれば、球団にとってかけがえのない財産になる。近年では06年の坂本、08年の大田を1位で指名した。坂本は不動のレギュラーとして定着し、6年目の大田も、今季終盤になり実力の片りんを見せている。関係者の話を総合すると、数年に1人のスケールを誇る高校生野手は、直近の補強ポイントという視点を傍らに置いても、指名に踏み切る価値があるという。

 23日のドラフト当日まで1カ月を切っており、他球団の動向を含めた調査が本格化する。山下部長は「さまざまな検討が必要」と、大きな決断には時間を要するとした。直前まで熟慮し、1位指名を確定させる。

 ◆岡本和真(おかもと・かずま)1996年(平8)6月30日、奈良・五條市生まれ。北宇智小1年から投手兼内野手として野球を始める。智弁学園では1年春からベンチ入り。今春センバツ1回戦の三重戦で1試合2本塁打。50メートル6秒8。遠投100メートル。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。