<巨人3-6DeNA>◇3日◇東京ドーム

 DeNAが逆転勝利で対戦成績を13勝10敗とし、05年以来9年ぶりに巨人戦勝ち越しを決めた。立役者は若き大砲の筒香嘉智内野手(22)だ。3点ビハインドで迎えた6回。1点を返してなお1死一、三塁から内海の139キロ直球をバックスクリーンに運んだ。気持ち良くベースを1周していたが、三塁ベース手前で何とコケてしまった。照れ笑いを浮かべて走り直しの“ギャグ点”本塁打だ。「打ったのは真っすぐ系のボールだったと思います。ただ三塁手前で何かに引っ掛かったわけでもなく、普通につまずいてしまったのが恥ずかしいです」と苦笑いした。

 朝、中畑清監督(60)から打率3割挑戦について聞かれた。この時点で3割7毛という微妙な数字だった。「最後まで出て、その中で結果を出したい」とおとこ気たっぷりの答えを返していた。その思いがバットに乗り移ったのだろう。去年までは頭が前に突っ込みヒットになっても左方向が多かった。今年は重心がしっかり残り、中堅から右方向へ長距離砲らしい弾道が増えた。

 中畑監督も感激した。「最後まで行きますと言ってくれた。その気持ちがチームを引き締めたね。真の4番になりそうな感じだな」。8月29日、9月12日と内海の前に連続完封負け。前回を含めて3連敗中と苦手にしており「アイツ、見下してんのかな。力負けしている。若いヤツの方が力を出せると思う」と、若い力に期待を寄せていた。

 この日は外国人をスタメンから外し、飛雄馬を抜てきするなど平均25・5歳のオーダーを組み、来季を見据えた。その若手代表が22歳の筒香。内海には10打数5安打と相性もよく、「それは意識せず、強いスイングを心がけた」。仲良し26歳の梶谷と初アベック弾も実現した。来季につながる豪快なアーチをかけた。【矢後洋一】