球界最年長記録を更新し続ける中日山本昌投手(49)が「50歳で5勝」の目標を立てた。5日、名古屋市内で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸4000万円でサイン。来季、32年目を迎えることが決定した。今季の白星(1勝)で記録を伸ばした左腕は1勝でもすればメジャーの年長記録も破る。日本球界で前人未到の領域に入る男が、再び体にムチを入れる。

 誰よりも年輪を重ねた男にしかできない爆笑会見だった。昨オフ、落合GMから「50歳まで現役で。給料も変えないから」と伝えられた通りの結果になった。すでに伝説になりつつある49歳は「契約書より、口約束の方が重かったということ」と豪快に笑った。

 9月の阪神戦で今季初登板を果たし、5回無失点でいきなり白星。その後4回5失点、5回3失点と3試合で1勝どまりでも、健在ぶりをアピールした。いよいよ日本球界では前人未到、50歳シーズンを迎える。

 「よく50歳で契約してくれたな、と。球団もこりごりでしょう。とっくに徳俵に足をかけている。来年で9割以上、引退しますよ。普通に考えたらもういないはずですから」。

 やるからには目標はしっかり立てる。まず「1つの励みに」とジェイミー・モイヤー(元マリナーズ)が持つ49歳5カ月のメジャー最年長勝利を目指す。8月生まれだから、1勝でもすれば“世界一”だ。そして「1勝を目標にしてはおかしい」と掲げたのは年間5勝。「ローテを1年やるくらいに思わないと。5つくらいは貢献しないと意味がない」と宣言した。

 10月に右目網膜剥離の手術を受けたが、視力はコンタクトで0・6まで回復。ジムなどで練習も再開している。順調にいけば来春キャンプも万全で迎えられそう。「晩年も晩年ですから。もう1回優勝の喜びを味わいたい。とにかく僕にできることをしたい」。ゆっくりとメモリアルに向けた準備に入っている。(金額は推定)【柏原誠】