右肩故障から再起を期す広島今村猛投手(23)が12日、4年ぶり先発転向に意欲を見せた。広島市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1000万円減の4000万円でサイン。今季はケガで不本意な1年だったが、7月中旬の降格後に挑戦した先発で結果を残し、自信をつかんだ。首脳陣はひとまず救援起用の方針だが、5年目右腕はどんな役割でもまっとうし、鯉の24年ぶり優勝に貢献する意気込みだ。

 今村は潔く提示額を受け止めた。5年目で初ダウンとなる1000万円減の4000万円で更改。だが心はもう15年に向いていた。

 今村

 今年は投げていないので(減俸は)仕方ない。でも肩の状態はだいぶいい。来年は1年間いいポジションで投げて、勝ちにつながる投球をしたいです。

 昨季まで3年連続50試合登板するなど、セットアッパーの地位を築いた。だが今季は春先から右肩の故障に見舞われ、登板17試合で防御率4・35に終わった。来季巻き返しへの意欲は人一倍強い。そんな苦しい1年の中でも自信をつかんだのが、7月末の降格後に挑戦した先発だった。

 今村

 実際やってみて思ったよりできた感じ。中継ぎなら1人の走者も出せないけど、先発なら1、2点はいい。中継ぎ以外でもいける感じはつかめました。

 2軍戦で7試合に先発し、1完封2完投を含む4勝2敗と結果を残した。息苦しい登板が多い救援とは違う適性や、やりがいも発見できた。実際、将来のエースと期待されて09年ドラフト1位で清峰高から入団し、11年6月までは先発を務めた。首脳陣はセットアッパー復活の青写真を描いているが、先発でと言われれば喜んで投げるつもりだ。

 今村

 緒方監督にも『お前の力が必要だ』と言っていただきました。来年は1年間、投げろと言われたところ、必要とされるところで力を出し切りたいです。

 10月の右肩痛再発で秋季日南キャンプは不参加だが、この日から廿日市市の大野練習場でキャッチボールを再開。足腰と体幹も鍛え直し「1年間働ける体づくり」に励む日々だ。4年ぶりの先発再転向も視野に、背番号16の逆襲ストーリーが始まる。(金額は推定)【松井清員】