「阿部ノミクス」で「球界総選挙」に勝つ。来季から一塁手転向の巨人阿部慎之助捕手(35)が4日、都内の球団事務所で契約交渉。2年契約の最終年の来季へ9000万円減の推定5億1000万円で更改した。

 球界最高年俸は保ったが、プロ14年目で03年以来となるダウン査定で、最大の下がり幅だ。支持率と言っていい査定に不満はない。ビール箱…ではなく、壇上から「ダメなら下がるし、良ければ上がる。給料を上げることを考えて野球をしていないが、数字を残して、また契約してもらえるようにやる」と遊説した。

 来季からトップ当選を果たし続けた捕手区から一塁区へ鞍替え出馬する。有権者に3つの公約を掲げた。

 (1)打撃ノルマ

 「原監督からも言われた3割30本を目標にやる」と設定した。

 (2)陰のリーダー

 原内閣にとって官房長官ともいえる主将を8年間務めたが、今季限りで退任。「肩書はないが、チームを引っ張る気持ちは変わらない」。

 (3)一塁道を究める

 「内野の中でも特殊なポジション。研究を重ねながらやる」。シーズン中から名手ロペスを質問攻め。また一塁手から捕手目線で配球面の助言を送るつもりだ。

 公約が達成できれば「阿部ノミクス」実現が近づく。そのための矢も用意している。減量中で現在3キロ減の95キロ。夕食時の炭水化物、ビールを断った。「目標は02年以来の92キロ」。自ら“定数削減”を図る。

 阿部が01年に入団してから過去に計4度の衆院選が行われた。実は衆院選の翌年の成績がいい。03年に小泉内閣がマニフェスト解散した翌04年は33本塁打、09年に自民から民主に政権交代した翌10年は捕手史上3人目のシーズン40本塁打達成、12年に自民党が政権奪回した翌13年は32本塁打、91打点でV2…。阿部がG党を強力な与党第1党に押し上げる。【広重竜太郎】<過去の「阿部ノミクス」(○=達成、×=失敗、△=微妙)>

 ◆04年

 全試合フル出場、30本塁打、チーム防御率2点台を公約に。本塁打は33本でクリアも、他2つは届かず…△

 ◆08年

 10月のリーグ優勝決定試合で右肩脱臼。「オレの体は医学の常識を超えている」と豪語、日本シリーズで奇跡的に復帰…○

 ◆12年

 橋上戦略コーチ(当時)と「タイトル奪取」を約束。打率、打点の2冠王に…○

 ◆同年

 5月に軽率な落球で勝利を逃し「オレ、これからフライは絶対両手で捕る!」。以後ノーミスで日本一に…○

 ◆13年

 WBC日本ラウンドを終え「(山本)浩二監督を男にする」と宣言も、準決勝で敗退…×