【ホノルル(米ハワイ州)13日(日本時間14日)=宮下敬至】巨人菅野智之投手(25)が、15年シーズンの開幕投手候補の筆頭に躍り出た。原辰徳監督(56)が示唆した。今季MVPを獲得した右腕は入団から2年で押しも押されもせぬ存在になり、チームの浮沈を握るキーマンに成長。自身も覚悟を決め、長きにわたって開幕投手を務めることを誓った。

 息抜きは終わった。菅野はバカンスの最終日を、本格的な練習に費やす選択をした。2年連続のハワイ。土地勘はある。ダイヤモンドヘッドを望む公園を走り、強いキャッチボール、ダッシュをひたすら繰り返した。「開幕投手を今年務めた以上、ころころ代わっていてはダメ。しっかり、3年くらいは任せてもらえるようにしたい」と言った。3年目、26歳の来季。投手の軸になる覚悟を決めた。

 小手先の投球を排除する。「真っすぐを主体に取り組んでいきたい」と即答だった。「今年、前年より良かったのは真っすぐが良かったから。さらに良くなれば、もっと楽に投げられる」。巨人の本格派右腕という、王道の中の王道を歩むつもりでいる。「もう1度、基礎から見直す。年間ローテを守れる体を作る」とオフの狙いもハッキリしている。チームは帰国の途につくが、自分は逆方向、米本土のアリゾナに戻る。練習漬けで年を越す。

 帰国を控えた原監督が「誰しもが順調にいけば(菅野)と思っているでしょう。そういう立場に、智之はなりつつある。それは否定はしない」と来季の開幕投手について明かした。親族に厳しい自身の基準値に達しつつあると認めた。ただ「しかし、開幕ピッチャーという意味たるや、名誉と同時に重さもあるわけだから。慎重に考えたい」と加えることも忘れなかった。内海、杉内。ともに通算100勝以上をマークしている職人が、指をくわえて譲るはずもない。

 菅野にとって、現時点で最右翼でも、周囲を納得させる力でもぎ取るしかない。「1年目、2年目。感じることはあった。正解はないかもしれないけど。経験を生かす」。確固たる地位を築く3年目にする。