巨人内海哲也投手(32)が、また新たなトレーニングを導入した。個人トレーナーの保田貴史氏(32)とともに、創意工夫を重ねたトレーニングで2度の最多勝をマーク。今オフは柔軟性を高めるため、ヨガを取り入れたが、第2弾の秘密兵器はハンマー。12月某日、ジャイアンツ球場での練習を独占キャッチした「大工の哲さん」に本紙記者が潜入した。

 12月某日、何げなくジャイアンツ球場のグラウンドを見ていた時だった。大きなハンマーを手に持った男が、グラウンドに現れた。その日は寒く、小雨交じり。「誰?

 工事の人?

 いや、でもジャージーを着てる…」。遠くからでも分かる大きな背中に、鍛え上げられた下半身。そう、巨人内海だった。

 向かったのは、スコアボードの裏の砂場だった。急いで向かうと、個人トレーナーの保田氏が、くいを砂場に埋めたところだった。「さぁ、いくで~。1、2、3…」。内海は力強い掛け声とともに、ハンマーでくいを打ち込んだ。「えっ、大工さん?」。驚く私に目もくれず、埋めては抜きを繰り返した。

 新たな投球フォームを構築する過程で、考案したトレーニングだった。2軍時代、小谷投手コーチ(現ロッテコーチ)から「ボールは足で投げなさい」と教わったが、下半身から上半身へ力をスムーズに伝えるにはどうすればいいか。穴掘りも考えたが、上半身と下半身の連動性がより必要なハンマーを振り下ろす動作が、求める形に合致した。

 「ハンマー」(約2000円)と「くい」(約300円)は、自宅近くのホームセンターで購入した。くいは消耗しやすく、すでに20本以上を購入。急激な売れ行きに在庫は品薄状態に陥ったという。「くいをきれいに打ち込むには力の出し入れが重要。投球動作にもつながる動きですし、いろんな発見もある。生かしていければ」と言った。「大工の哲さん」が、ハンマー片手に新たな自分を築き上げる。【久保賢吾】