○△(丸さん、かっけー=カッコイイ)のスタートだ。宮崎・日南で行われている先乗り自主トレ初日となった25日、広島丸佳浩外野手(25)のリーダーシップが際立った。先輩、後輩問わず声を掛け、フリー打撃では打撃投手を買って出た。緒方監督から菊池とともにリーダーに指名され、引っ張る立場に。自身も40歳まで現役宣言するなど、向上心は青天井だ。

 参加21人の輪の中心には常に丸がいた。監督、コーチ陣のいない先乗り自主トレ。大声を上げて、盛り上げ役に徹した。アップ後、最初のメニューだったポール間走から、丸の声が響き渡った。「まっちゃん(松山)絞れてるよ!」「安部ちゃん、競技変えろ!」。厳しいメニューで笑いが起こり、雰囲気は丸くなった。

 「自分も含めて若いメンバーは多いし、キャンプとはまた違う雰囲気で。先乗りはある程度楽しくていいと思うし、メリハリをつけてやりたい」

 昼食前には野手の中心に立ち、午後からのフリー打撃の順番を決めた。そのフリー打撃では自身の順番が終わると、L字形ネットの前に立った。3年目コンビの鈴木誠と美間を相手に、打撃投手を買って出た。時折声を掛けながら投げ込んでいく。「言うことによって、自分も気づける部分がある。自分に言い聞かせている部分もあります」と光る汗をぬぐった。

 自然と芽生えた自覚だった。緒方監督は就任直後から、菊池と丸をリーダーに指名。プレーで、行動で、言動で引っ張ることを求められた。「声を出すのは基本。まずはそこから。普通です」と過剰な意識こそないが、行動には確かににじみ出ていた。25歳は少しずつ、模索していた自分なりのリーダー像をつかみ始めたのかも知れない。

 昨季は打率3割1分をマークするなど過去最高の成績を残した。充実した時間を過ごすなかで「もっとよくなりたいという、いい欲」が出てきた。禁酒に始まり、野球上達に関係ないものはすべて断った。「やることはまだまだたくさんある(40歳で現役も)明確ではないけど、目標ではある」。今を後悔したくない。24年ぶりのリーグ優勝へ、丸が旗を振る。その意志は強い。【池本泰尚】