ヘイ、シンタロウ!

 開幕投手はオレ!!

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)が28日、関西空港着の航空機で来日し、球団の外国人史上初となる2度目の開幕投手を宣言した。3年目の藤浪も挑戦するが、昨季最多勝&最多奪三振の2冠に輝いたメッセンジャーは譲る気なし。今年は最優秀防御率も含め「3冠」を狙いにいく。

 まるで、横綱の歩みだった。関西空港に降り立ったメッセンジャーは自信をみなぎらせながら大荷物を押して、家族を引き連れる。来日6年目のシーズンがいよいよ始まる。藤浪よ、かかってこい。そんな気概がにじみ出る第一声だった。

 「これまでや昨季を見ても自分が開幕投手を投げる成績を残している。正直言って投げたい。自分が投げるべき。自分が一番、適しているんじゃないかな」

 とにかく熱い。外は真っ暗な冬なのに半袖Tシャツ&短パン姿で仁王立ちし、13年以来、自身2度目の開幕投手を宣言した。昨季は13勝&226奪三振で外国人史上3人目の2冠。日本シリーズに導いた自負もある。3月27日中日戦(京セラドーム大阪)の開幕投手を譲る気はさらさらない。

 「(藤浪も)自信はあるだろう。目指すことは大事だよ。でも、フジナミ君はまだまだ伸びしろがある。できることがあるよ」

 藤浪にとっても「大きな壁」になる。入団1年目、トレーナーに「長くやるため、どこを鍛えればいいですか」と問うたという。プロで生き残る肉体をつくるため、メッセンジャーやスタンリッジ(現ソフトバンク)を手本に挙げた。いずれも身長は190センチ台。関係者は言う。「背が高いから腰回りを鍛えないといけない」。助っ人を見習い、腰など体幹を鍛えてきた。藤浪は「特にメッセンジャーを上回ろうと思ったら相当なモノ。奪いにいくくらいの気持ちでいかないと」と覚悟を固め、挑戦する。

 若虎の向上心を感じるからこそ、メッセンジャーもクレバーに開幕投手を目指す。昨季は公式戦、ポストシーズン合計236イニングを投げた。肩や肘に蓄積した疲労をとるため、阪神入りして初めてオフのブルペン投球を行わなかった。「休める時間を多く作ったよ。昨年、あれだけ投げたから」。米テネシー州の自宅では朝、子どもをスクールに送り届けた後、睡眠など休養に専念。キャッチボールにとどめ、キャンプで仕上げる王道調整を行う。

 「1度とったタイトルは全部、防衛したい」と意気込む。それなら防御率を含めた3冠だ。これにも「見ててくれ」と不敵に笑う。威勢のいい若武者に胸を貸してこそ横綱だ。日本育ちのキングは風格たっぷりに振る舞う。【酒井俊作】

 ◆阪神の開幕投手候補

 メッセンジャー、藤浪のほかに、過去3度大役を務めている左の柱、能見も堂々の候補。さらに岩田も、昨年12月末の契約更改後の会見で、開幕投手争いに参戦する意気込みをみせた。岩田は昨年防御率がリーグ2位の2・54。今季開幕カードの相手、中日戦の対戦防御率は0・64だった。<今季メッセンジャーが達成可能な外国人記録>

 ◆開幕投手2度

 13年に続いて2度目なら、阪神では初めて。虎助っ投でほかに開幕投手となったのは、バッキー(65年)キーオ(87年)が各1度。

 ◆通算奪三振

 現在745。阪神最多のバッキー799にあと54。

 ◆連続年2桁勝利

 11年から4年連続。今季も10勝以上し5年に伸ばせば、バッキー(64~68年)以来、球団2人目。

 ◆シーズン奪三振

 11年から4年連続100以上。今季も継続し5年とすればバッキー(64~68年)以来チーム2人目。

 ◆通算ゲーム2桁奪三振

 現在10度。セ・リーグ最多メイ(阪神、巨人)11度にあと1。