日本ハム大谷翔平投手(20)が、「衝撃的スライダー」を投げ込んだ。30日、沖縄・名護で行われていた先乗り合同自主トレを打ち上げた。最終日はブルペン入りし、50球を投げた。握りを変えたというスライダーは、昨季よりも曲がり幅が大きく鋭さもあり、女房役の大野奨太捕手(28)も「衝撃を受けた」と絶句。2年連続2桁勝利&2桁本塁打に挑む怪物が、さらなる武器を手に入れた。

 かつてダルビッシュの球を受けていた大野ですら、すごさに驚いた。先乗り合同自主トレ最終日のブルペン。大谷が投じたスライダーは、鋭く、大きく、横滑りした。「握りを変えたんです」。本人は涼しい顔だが、女房役は「衝撃を受けた」とあ然。速球、フォークとともに武器であったスライダーが、格段にレベルアップしていた。

 飽くなき探求心の末に生まれた。スライダーは昨季までもウイニングショットの1つではあったが、「これでいいかなというのはない」。大谷はどんなときでも、何事に対しても、限界を決めずに上を目指す。他人に教わるのではなく「独学」で、追求していった。「自分で投げやすい握りにしました」。今オフ、ひそかに取り組んできた。

 具体的な握り方の変更点については「ちょっと変わってるかな…くらい」とけむに巻いたが、くっついていた人さし指と中指を離し、引っかける縫い目の位置も変えたようだ。これまで以上に、横への変化量が大きくなり、打者にとってはやっかいな球になりそう。「スライダーが2つになるわけではない」。新球種ではなく、昨季までの改良版として使っていくことになる。

 大野が「もっと扱えればいい」と話すように、制球など精度を上げていくのはこれからで、明日2月1日から始まるキャンプの中で、腕を磨いていく。開幕投手狙いを公言しており「紅白戦やオープン戦でしっかりと結果を出していければ」と、新スライダーを武器に、実戦のマウンドで首脳陣にアピールしていくつもりだ。

 まずは、初登板が予定されている2月9日の紅白戦(名護)へ向け、準備を整えていく。「(キャンプに)去年よりいい入りができると思います。ケガをしないように。それさえしていれば、自然と(状態は)上がってくると思う」。コメントにも、自信がにじむ。昨季打ち立てた偉業「11勝&10本塁打」をともに超えることを目指す3年目。この日の衝撃は、まだまだ序章にすぎない。【本間翼】

 ◆大谷の球種

 持ち球は直球、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カットボールだが、状態や状況に応じて、使い分けや改良を重ねてきた。先発ローテに定着した昨季、1年目は使っていたチェンジアップを、精度の問題と同じ縦の変化球であるフォークがよかったことから封印。90キロ台だったカーブに関しても、100キロを超える「パワーカーブ」を習得し、2種類を使い分けるようになった。3年目の今季へ向け、昨秋のキャンプからは「幅が広がる」と、再びチェンジアップに取り組んできた。「試合の中でも微調整はする」と言うように、常にレベルアップを図っている。