ノロ?

 インフル?

 心配いらん!

 中日谷繁元信兼任監督(44)が1月31日、沖縄・恩納村の1軍宿舎でキャンプ前恒例の全体ミーティングで「心技体」のレベルアップを訴えた。特に強調したのは「心」で、選手に心の成長を求めた。この日、浜田達のノロウイルス、武藤のインフルエンザ罹患が発表されたが「何も心配することない」と周囲の不安も強い心で吹き飛ばしてみせた。

 指揮官の表情は少しも揺るがなかった。「これが心の強さだ」と言わんばかりの泰然自若ぶりだった。

 この日午前、2軍の浜田達のノロウイルス感染が判明。さらに夕方には1軍の武藤のインフルエンザ発症が発表された。感染経路、今後の対応、振り分けの変更は…。チーム内にも広がる不安。ミーティングでも緊迫ムードが漂った。

 約1時間におよんだ、その全体ミーティングの最後。谷繁兼任監督は、こうスピーチした。

 「心技体、すべてのレベルアップをしてほしい。そして継続してほしい」

 2年連続4位。このオフのテーマは個々の底上げ。それをあらためてシンプルに伝えた。こだわりの部分は「心」だ。「人間は心の強さもいるし、いろいろな心がある。いろいろな意味で成長しないと技術もついてこない」と説明した。

 未知数の外国人や新人をのぞき、4位だった昨年と戦力はほぼ同等といえる。長いオフ。秋季キャンプから集中的に中堅以下を鍛えてきた。今キャンプも「昨年の課題の継続」を掲げる。単調でも、逃げずに個人の課題に向き合わせる。「心」を鍛える時間になる。

 3年連続でチームを襲ったウイルス禍。内心、ダメージがあってもおかしくない。ピリピリムードになりがちな周囲に、逆に笑い飛ばしてみせた。「こればかりはしょうがないからね。キャンプ前とか第1クールとか(過去にも)誰かしらあるもんね。オレ、ひいたことないよ(笑い)。でも絶対にうつらない薬はない。あったらほしいね」

 外出禁止令などについては「そこまですることはない。そこは自己管理」と涼しい顔。1、2軍のメンバー交代や選手補充についても現時点ではないと断言した。病気関連ばかり矢継ぎ早に飛ぶ質問に応じ、最後にうなずいた。「何も心配することはないよ」-

 兼任監督2年目。昨年よりも、選手の仕上がりの良さに自覚を感じている。「明日から始まるんだな。やってやる、という感じになっている」。デンと構えた指揮官のもと、逆襲のキャンプが始まる。【柏原誠】