開幕投手最有力の日本ハム大谷翔平投手(20)に、栗山英樹監督(53)からエースのノルマが課された。1月31日、チーム本隊がキャンプ地の沖縄・名護入りし、同地で先乗り自主トレを行っていた大谷も合流した。今日1日にさっそくブルペン入りし、9日の紅白戦(名護)で最初の実戦登板を迎える予定。初の大役に向けて、指揮官は「誰が見ても翔平しかいない…とならないと」と、実戦登板で圧倒的な存在感を示すことを求めた。

 気負いはない。3年目のキャンプインを目前に、大谷は「ワクワクというのはない。始まる…という、そういう気持ちです」と、短い言葉で心境を明かした。1年前と、立場は決定的に変わった。自身初の開幕投手へ。真価が問われるキャンプがスタートする。

 1月22日から沖縄・名護入りし、先乗り合同自主トレで投球練習を重ねてきた。30日には曲がりが大きい新スライダーを披露して周囲を驚かせた。今日1日の初日からブルペンに入り、まずは今季初実戦登板となる9日の紅白戦(名護)へ向けて調整する。「自分の形が見せられればいいです。結果がよくても内容が悪かったら(争いに)残れない」。数字だけではなく、投球内容にもこだわっていく。

 例年は早めに開幕を任せる投手に意向を伝えてきた栗山監督も、「もう少し見たい。遅らせた方がいいかな」と、今年はスタンスを異にしている。昨季チーム勝ち頭の11勝を挙げた大谷が本命候補ではあるが、同監督は「誰が見ても翔平しかいない…とならないと。内容も大事だけど、バランス、コントロールに不安がなくなっていくかどうか」と、2月中の実戦登板でライバルに引導を渡す、圧倒的なパフォーマンスを求めた。

 首脳陣は、投打「二刀流」挑戦3年を、ひとつの区切りと考えて取り組んできた。同監督は「ひとつの目安が今年いっぱい」。今季も無事に成長できれば、軌道に乗るととらえている。「将来に向かって手を打っておく」(同監督)と、今キャンプ中には登板前日、翌日の打者出場をテストする可能性も示唆した。大谷は他投手よりもハードな日々を過ごしながら、マウンド上では結果を見せつけ、勝ち残っていかなければいけない。

 大谷

 1年1年が勝負。(開幕を狙うからといって)今年が1番だということはないです。この先も続いていく、延長でやっていければいいです。

 「球界の正月」とも呼ばれるキャンプインも、自身初の開幕投手の座も、将来への通過点のひとつ。気負いはない。【本間翼】<過去2年キャンプ前日&初日の栗山監督&大谷>

 ◆1年目(13年)

 キャンプ前日、出発地の羽田空港で、5分間の面談。栗山監督から「たくさん人は来るけど、焦らずに。(周囲の目を)気にすることはない」と激励された。大谷は「自分のペースでやっていければいいです。ケガなくやりたい」。

 ◆2年目(14年)

 初日のブルペンで首脳陣から投球フォームの不安定さを指摘され、シャドーピッチングを追加された。栗山監督は「バカヤローっていう話。バカヤロー頑張ろうぜ」と厳しく評価。「投手というのはすべての鍵を握るわけだから、そこはちゃんとやって欲しい」とハッパをかけた。大谷は「1日でも無駄にしないように。1日1日力を出し切って勝負したいです」。