今年は「○」だ。3年目のキャンプインを迎えた日本ハム大谷翔平投手(20)が、上々のスタートを切った。1日、沖縄・名護キャンプで初日からブルペンに入り、64球を投げた。昨年のキャンプ初日は投球フォームに課題を見せ、「バカヤロー」を連発した栗山英樹監督(53)も、1年を経た今年は「“パ”カヤローくらい」と、独特の表現で成長を認めた。

 風格すら漂った。キャンプ初日と日曜日が重なり、何重もの人垣ができたブルペン。大トリを務めた大谷は、カーブ、スライダーを交え、64球を投げた。投球フォームやボールの質だけを確かめるように、力を抜いた。「軽くもなく、強くもなく。自分の中で確認できればいいかなと思った。(次回から)もうちょっと変化球を増やしたり、力を入れたりしたいです」。納得の“試運転”だった。

 濁点が半濁点へ変わったのは、進化の証しだ。意気込んで臨んだ昨年のキャンプ初日、投球フォームのバランスを崩し、居残りシャドーピッチングを命じられた。当時「バカヤローっていう話」と一刀両断した栗山監督は、この日は「“パ”カヤローくらい」と独特の表現で成長を認めた。

 オフはワインドアップモーションを試しながら練習を重ねてきたが、この日はすべてセットポジション。「どっちも伸ばしていければいいと思います」。自身で計画を立てながら、3月27日の開幕戦(対楽天、札幌ドーム)を見据える。

 手放しで褒められたわけではない。その1つの要因が、開幕投手を狙う主力としての自覚の足りなさ。ブルペンに入る直前、メーン球場で投内連係に参加したが、打球をポロポロとこぼしファンブルを連発した。同監督は「もっともっと意識しないといけないことはいっぱいある。ブルペンに行く前からパカヤローになってちゃダメだよね」と、取り組む姿勢、心構えについては成長を求めた。

 全体練習終了後には、1人で屋内練習場に移動し、マシン打撃を行った。今日2日は野手メニューに組み込まれる予定。「(投打ともに)去年の数字よりは上にいきたいです。前進することに意味があると思っています」。新たなシーズンは上々の滑り出し。今年は初日に「○」をもらってスタートを切った。【本間翼】

 ◆大谷の昨年キャンプ初日

 ブルペン入りして59球を投げ込んだ。キレがいまひとつで、制球にもばらつきがあり、厚沢投手コーチは「100人が見たら100人が『あれっ?』って思ったはず」と辛口評価。投球練習した投手の中で唯一、首脳陣からフォーム修正のダメ出しを受け、全体練習後にシャドーピッチングを追加された。栗山監督は「バカヤローっていう話。バカヤロー頑張ろうぜという感じ」と奮起を促した。