<練習試合:日本ハム6-3DeNA>◇14日◇沖縄・名護

 貫禄のドラ1斬りだ。日本ハム中田翔内野手(25)が、今季“第1号”となる先制2ランを放った。相手先発のドラフト1位山崎康晃投手(22=亜大)の外角低め146キロ直球に逆らわず、逆方向の右翼芝生席へ運んだ。侍ジャパンの不動の主砲が、ナックルボーラーの注目ルーキーに強烈な洗礼を浴びせた。

 中田が4番の風格を、プロの厳しさを、一振りで示した。1回2死三塁、フルカウント。「真っすぐ勝負してくるだろうなと思ったら、真っすぐが来た」。DeNA山崎康が投じた外角低め、この日の最速146キロ直球を右翼芝生席へ運んだ。淡々とダイヤモンドを1周した。「ライトフライですね。風もあったし、パ・リーグでこんなに狭い球場もない」。名護市営球場は中堅118メートル、両翼97メートル。南国の太陽の下、頭の中はクールだった。

 8年目のシーズン。楽しみな対戦相手が、また1人増えた。ジャストミートした最後の1球について「三振を狙いにきていたって?」と、山崎康の度胸に驚いた。「変化球を投げられたら、三振していたけどね」と笑ったが、直球で果敢に勝負を挑んできた右腕の心意気に感嘆。「真っすぐは角度もあった。楽しみだね、交流戦」。精神面を含めた力量を認めた。

 調整段階だが、逆方向への力強い打撃に手応えも感じた。「あそこのコースをレフトスタンドに持っていける選手はいないね」。コースに逆らわない形は追い求めている姿でもある。「投手の決め球は、やっぱりアウトローの真っすぐ。そこを打たれたら、投手は痛い」。最高の投球を打ち崩すのが、主砲の務めだと自負する。

 家族のパワーも力にした。この日は母香織さんや妻子も来場していた。「子どもも見に来てくれて、打てて良かった」と父親の威厳を示した。栗山監督は「向かっていく感じが翔らしい。(交流戦に向けても)しっかり結果を出してくれて良かった」とたたえた。この日、ファンからもらったバレンタインのチョコは「10…何個。チョコに関しては、若干少ない」と不満も、逆に大きなアーチをプレゼント。頼りになる4番の甘い、いや熱い1発だった。【木下大輔】