<全日本大学選手権:東北福祉大3-0日本文理大>◇13日◇2回戦◇東京ドーム

 東北福祉大(仙台6大学)は日本文理大(九州地区)を下し、5年ぶり22度目の8強進出を決めた。1年生甲子園投手トリオの一角を担う波多野陽介(新潟・日本文理)が5回途中から2番手で救援。4回2/3を無安打7奪三振と完璧に抑え、全国初白星をものにした。

 東北福祉大が2投手による無失点リレーで、準々決勝に駒を進めた。

 前日12日の初戦(近大戦)に続き、山路哲生監督(46)の大胆采配が的中した。1点リードの5回表1死三塁の窮地で1年生右腕・波多野を起用。波多野は、8番打者と三塁走者のエンドランを三振併殺で切り抜け、窮地を脱した。最終打者を三振に仕留め、大学での全国デビューを白星で飾った波多野は「無安打は気がつきませんでした。びっくりするくらい三振が取れた。直球と変化球を低めに投げ分けた結果」と会心の投球を振り返った。

 前日の出口心海(岩手・盛岡大付)と城間竜兵(青森・光星学院)に続く甲子園経験の1年生投手の活躍。この日、「日本文理には日本文理を」とばかりに波多野を起用した山路監督は「同点でもいいと経験させるつもりだったが、そのまま引っ張ってしまった。(捕手の)船木もよくリードした」と、先発・高橋陽平(2年=宮城・東陵)を含むバッテリーをたたえた。

 今春リーグは、それぞれ2勝と1勝をマークした城間と出口に対し、波多野は1回1/3(2試合)しか登板実績がなかった。チーム屈指の最速146キロ。速球に頼りがちだったが、変化球もコースに投げ分けることで、投球の幅を広げた。

 今季、右ひじ故障で出遅れた伊藤直樹主将(4年)は日本文理からの先輩。09年夏の甲子園準優勝投手に憧れ、「同じ場所で野球がしたい」と背中を追い続けている。この日、味方攻撃中は伊藤主将がキャッチボールの相手をしてくれた。「腕を振り切れ」とアドバイスも受けた。生命線は低めの縦・横のスライダー。波多野は「優勝まであと3回。チームに勢いをつける投球をしたい」と闘志を見せた。【佐々木雄高】

 ◆波多野陽介(はたの・ようすけ)1994年(平6)4月6日、新潟県五泉市生まれ。巣本小2年から巣本タイガースで野球を始める。五泉北中では軟式野球部に在籍し、2年春に捕手から投手に転向。3年夏の県大会3位。日本文理では1年時から控え投手としてベンチ入り。2年春(背番11番)と同夏(同10番)の甲子園に連続出場。家族は祖父母、両親、兄、弟、妹。右投げ右打ち。177センチ、75キロ。血液型AB。