<東都大学野球1、2部入れ替え戦:拓大2-0専大>◇最終日◇19日◇神宮

 拓大(2部1位)が専大(1部6位)に勝って2勝1敗とし、29年の創部以来3度目の挑戦で初の1部昇格を決めた。初回に敵失で先制すると、2死一塁で北條貴之主将(4年=志学館)が中越えの適時二塁打を放った。3回からリリーフした福永雅之投手(3年=神村学園)が走者を1人も出さない完璧な投球でリードを守りきった。内田俊雄監督(66)は就任8年目で、3部から1部昇格へ導いた。

 待ちわびた春が訪れた。9回2死。福永が最後の打者を右飛に仕留めるとベンチから選手が飛び出した。「うおー!」という叫び声とともにマウンドには歓喜の輪が広がり、初の1部昇格を決めた喜びを爆発させた。

 49年のリーグ加盟以来“三度目の正直”を実現させたのは、就任8年目の内田監督だった。亜大を78年から06年まで率い、リーグ優勝13回、全日本選手権3回、明治神宮大会2回の優勝。常勝軍団を築いた名将は06年に拓大の指揮官となった。就任当初は3部に降格していたチームに「こんな野球もあるのかと思いました。とにかく環境が全然違った」と衝撃を受けた。

 大学に働きかけ昨年の4月に学内に野球部寮を設置。選手を午前6時半に起床させ、寮周辺の草むしりを始めた。亜大時代も行った行事で、私生活から野球を強くさせようという思いだった。北條主将は「むしるところが無くなるくらいやりました。何事にも率先してやるという意識が身につきました」とチーム力向上につながったと話す。

 この日、内田監督は胴上げを拒否。「まだ1部で考えたら6位ですから。次は1部に定着しないと」。「雑草魂」で磨かれたチームは1部優勝という大輪の花を咲かす準備に入った。【島根純】

 ◆拓大

 1900年(明33)創立。野球部は29年創部。東都大学リーグには49年に加盟したが、53~62年は脱退。63年に再び加盟した。87年秋と11年秋、13年春と2部リーグ優勝は3度。レスリング部やボクシング部が全国レベル。主なOBに米満達弘。野球部では高橋建(元広島)らがいる。