<明治神宮大会:駒大3-0明大>◇19日◇大学の部決勝◇神宮

 駒大(東都大学)が、39年ぶりの決勝対戦となった明大(東京6大学)を破り、13年ぶり5度目の日本一に輝いた。5度制覇は明大に並び最多タイ。来年ドラフトの目玉候補、エース今永昇太投手(3年=北筑)が6回から登板し、無失点に抑える好投。阪神3位の江越大賀外野手(4年=長崎海星)は、2打点を挙げた。明大は、オリックス1位の山崎福也投手(4年=日大三)が8回途中3失点と好投したが、2年連続決勝で敗れた。

 野球人生初の全国舞台で駒大・今永は胴上げ投手になった。「本当に、今も信じられない。単純に、うれしさしかないです」。バックスクリーンに向かって、両手で派手にガッツポーズ。前を向き直すと、跳びはねるナインが歓喜の輪を作っていた。今大会は3試合、14イニングを1失点。夢中で投げた3年生エースが、チームを13年ぶりの日本一へ導いた。

 先発した1年生左腕の東野が5回を無安打に抑え、観衆をうならせた。寮の部屋が隣で仲の良い後輩の投球を、「ナイスすぎる好投で、違う意味のプレッシャーがありました」と冗談交じりに振り返ったが当然、負けるつもりはない。「調子が悪いと球速が出ない。自分のバロメーター」と語る直球は7回、5番菅野から見逃し三振を奪った際、最速タイの148キロを計測した。

 最大のピンチで頼ったのも、やはり直球だった。1点リードの8回2死満塁で、2番糸原の決め球にも迷わず真っすぐを選択した。「ベストボールではなかった」と内角直球は1度、死球の判定となったが、審判団の協議の結果は空振り三振で窮地を脱した。スタンドでは前日に明治神宮で優勝を祈願してきた父孝司さん(63)が、手放しで喜んでいた。

 リーグ優勝を祝い、OBのDeNA中畑清監督(60)から贈られたバットも、5度目の全国制覇を後押しした。「いろいろな方の応援があったから。この結果を最低限だと思って、またしっかりやっていきたい」。頂点に立っても、来年のドラフト1位候補左腕は貪欲だった。【和田美保】