プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)が30日、東京都内のホテルで開催され、北海道からは函館大の坂田遼外野手(22=横浜創学館)が西武から4位指名を受けた。北海道6大学野球の公式戦では通算9本塁打をマークし、練習では150メートル弾を放ったこともあるスラッガー。函館大からの指名は、65年の創部以来初めての快挙となった。

 坂田のドラフト指名は、仲間の歓声が合図だった。大学構内でチームメート約30人と行方を見守った。会議開始約1時間30分後。「もう駄目とあきらめていた」と思っていた直後に、携帯電話の速報をチェックしたチームメートが「西武4位だ」と叫んだ。全員が喜びの声を上げた。仲間から祝福され、ようやく笑顔がこぼれた。

 函館大からの指名は初めてとなる。阪内俊喜監督(52)は「今年は夢が1度にかなった。北海道NO・1とプロ野球選手の誕生」と喜びを抑えきれない。その北海道NO・1となった春季リーグは、坂田が首位打者で引っ張った。6月の全日本大学野球選手権に30年ぶりの出場を果たし、全国1勝を挙げた。

 しかし、7月の練習で右足甲を骨折するアクシデント。ギプスをし、練習はドクターストップがかかった。8月のキャンプ、遠征の期間は函館の野球部寮で回復を待つしかなかった。秋季リーグでは9月27日の最終節、東農大生産学部戦の1試合のみの出場。3打数無安打で途中交代したが、リーグ優勝に届いた。踏ん張った仲間のためにも、プロでの活躍で恩返しするつもりだ。

 社会人野球の三菱銀行神戸に内定していたがこの日、断りを入れた。西武入団へ支障はない。元巨人の中山俊之助監督(56)は「プロに入ったら、すべて自分で取り組まないといけない。練習、体のケア、時間もお金も惜しまないこと」と助言した。西武のスカウトをはじめ、数球団が1年生のころから、見守っていたという。飛ばす力、打球の速さは、この4年間でさらに輝きを増した。坂田は「プロとして、1年目からレギュラーで出たい」とさらなる飛躍を誓った。【中尾猛】