ヤクルトに「チリガミ王子」がやって来る。ドラフト2位の伯和ビクトリーズ・七条祐樹投手(26)が5日、東広島市内で指名あいさつを受けた。名前は、日本ハムが交渉権を得た「ハンカチ王子」こと早大・斎藤佑樹と名前が1字違い。自ら「バカボン」と名乗る風ぼうと、泥臭く生きてきた野球人生から「周りには『チリガミ王子』と呼ばれてます」と珍愛称を披露した。

 昨年12月、所属していた日産自動車九州が休部。野球を辞める道も考えたが、同年11月に結婚した千春夫人(26)の後押しもあり、移籍を決意。2人で地元宮崎から広島に移り住んだ。午前中は親会社の伯和が経営するパチンコ店で働き、午後に練習する毎日。4年前は右肩を痛めて投げられない時期があるなど、苦労の道を歩んできた。

 直球の最速は149キロを誇る即戦力右腕で、担当の岡林スカウトからは「ここ一番の集中力がすごい。自分の現役の時よりも七条が上」と評価される。早大・斎藤はヤクルトが獲得を目指していただけに、七条は「斎藤投手に負けないように、少しでも早くテレビに出て活躍したい」。簡単にはポイ捨てしない、揺るぎない決意で1軍の舞台にはい上がる。【由本裕貴】