<神宮大会:東海大1-0九産大>◇4日目◇16日◇大学の部準決勝◇神宮

 日本ハムからドラフト4位指名を受けた九産大(九州3連盟)・榎下陽大投手(4年=鹿児島工)の神宮が終わった。東海大(関東5連盟)に0-1で惜敗。8回の1イニングを3者凡退に抑え反撃ムードをつくったが、大学最後の試合は1点に泣いた。つぶらな瞳に涙を浮かべ、相手エース菅野と握手をかわした。決勝マウンドに立つ右腕に「早稲田に勝ってくれよ」と声を掛けた。

 「高校最後の試合も斎藤に負けたので」と、早大・斎藤との再戦を目指し神宮に帰ってきた。悲願の一戦まであと1勝。「継投でしのぎ、明日は榎下を先発させるつもりだった」という大久保哲也監督(48)の方針で、先発は2年生の下平に譲った。その下平が1発を浴び、0-1の8回にエースはマウンドに上がった。

 逆転を信じ、力を振り絞った。「大学4年間で学んだすべてを出すつもりでした」。先頭打者を最速148キロのストレートでカウント2-1と追い込み、フォークで空振り三振。1イニングを3人で投げ終えた。9回表は延長に備えキャッチボールで準備したが、ゲームセットの瞬間、涙で視界がぼやけた。

 今日17日は福岡に戻り、20日の日本ハム・ファンフェスティバル(札幌ドーム)で、北海道のファンの前に登場する。「育ててくれた監督、チームメートに感謝して、頑張って行きたい」。来年からは斎藤と同じユニホームで、パの頂点を目指す。【堀まどか】