<第82回都市対抗野球:JR東日本東北4-0三菱重工横浜>◇1回戦◇24日◇京セラドーム大阪

 JR東日本東北(仙台市)の森内寿春投手(26)が、大会史上、54年ぶり2人目となる完全試合を達成した。三菱重工横浜(横浜市)戦に先発。キレのある速球と変化球で12三振を奪い、打者27人で片付けた。チームも昨年4強の相手を撃破。東日本大震災からの復興を目指す被災地に明るいニュースを届けるとともに、森内は今月27日のプロ野球ドラフト会議の指名候補者に急浮上した。

 ドラフトを3日後に控えての森内の快挙に、スカウト陣も騒然となった。巨人山下スカウト部長は「僕自身は初めて見た投手。今日の投球内容を見れば、十分ドラフト候補としての対象になる。コントロールもいいし、球のキレも申し分なかった」と賛辞を惜しまず。オリックス長村編成部長も「粘りのある球質で、うちの岸田と似ている」とチームの守護神と比較し「大舞台でこれだけのことをするのは、何かを持った選手ということでしょう」と語った。

 これまでは全国大会などで目立った活躍がなかったこと、来年27歳の年齢から候補としてはほぼ対象外だった。ただ同じJR東日本東北の摂津が26歳で指名され活躍、今年は先発で14勝を挙げた例がある。阪神中尾スカウトも「都市対抗でこれだけの活躍をするのは、やはり力があるということ」と認めた。

 ネックは、ドラフト直前のアピール時期。各球団とも指名候補をほぼ絞り込んでおり「夏場の開催の都市対抗で見ることが出来たなら」と頭を抱えるスカウトも。ただ、この快投が編成担当をあわてさせたことは確かだ。