日本ハムが1位指名濃厚な桐光学園・松井裕樹投手(3年)の獲得へ向け、大ギャンブルの切り札を投入する。「プロ野球ドラフト会議

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 リポビタンD」は今日24日、東京都内で行われる。23日、都内ホテルで栗山監督と球団幹部で最終の意見調整を実施し、松井に一本化した模様。確実視される入札抽選の大役には、初体験となる栗山監督に一任することを決めた。自称「クジ運ゼロ」と豪語する指揮官に、注目左腕の命運を託すことになった。

 ちょっと心もとないジョーカーが、堂々と名乗りを上げた。栗山監督が、1位指名濃厚な松井のクジ引き役を引き受けることになった。都内ホテルで約2時間30分の球団フロントとの最終の意見調整を終えると「クジはオレが引きます」と宣言。1位指名候補は当日まで複数と明かしたが、当初から球団内の評価が高かった松井で一本化されたとみられる。複数球団との競合が必至で、あとは強運が運命の分かれ道となるが、その大役を務める。

 一抹の不安を抱く、衝撃の告白をした。栗山監督は「クジ運は全くのゼロ。勝負運とかも、持っていないから」と自身の不運ぶりを力説した。日本ハムは過去に中田や斎藤、陽岱鋼らを引き当てるラッキーぶりが、球団強化のスパイスになってきた。4球団競合の中田と斎藤は藤井前社長で、2球団競合の陽岱鋼はヒルマン元監督。入団を拒否されたが、11年には菅野を巨人と競合の末に的中させた津田社長が現職だが、気後れすることなく出馬を決意した。

 確固たる持論が、背中を押した。「こっちじゃなくて、選手の持っている縁だと思う」。過去に他球団も含め、スター選手たちは吸い寄せられるように、自らが輝く球団へ進路を取ったとの考えが根底にある。今季、楽天を球団創設以来初のリーグ制覇へと導いた田中らがその好例。慢性的に先発左腕不足に苦悩している日本ハムにとって、松井は来季の即戦力と見込んでおり、将来性も買っている。入団してからすぐに輝ける場所は、どこか。それを日本ハムと信じて、勝負に出ることになった。

 命運を託す山田GMは「結論は出ていない。これまでの3人から1人増えて4人になった」と最終の話し合いの経緯を公言した。松井を含め、当日までかねて1位候補としていた吉田一将(JR東日本)と大瀬良大地(九州共立大)に加えてこの日、さらに社会人の即戦力投手を1位候補にリストアップした。東京ガス・石川歩とみられるが、当初の構想通り、初志貫徹で松井へ向かう可能性が極めて高い。栗山監督と、松井の天命に懸ける。【高山通史】

 ◆日本ハムとドラフトくじ

 過去10年のドラフトで入札抽選は8回。2球団が競合した05年高校生ではヒルマン監督が陽、4球団が競合した07年高校生、10年は藤井球団社長がくじを引き、中田、斎藤の交渉権を獲得した。11年は津田球団社長が2球団競合の末、菅野を引き当てた。

 外したのは、ヒルマン監督が06年高校生で田中将大投手(駒大苫小牧=4球団)、梨田監督が07年大学、社会人で大場翔太投手(東洋大=6球団)、再競合の服部泰卓投手(トヨタ自動車=3球団)、09年菊池雄星投手(花巻東=6球団)の4回(肩書は当時)。