異例の当日決定だ。「プロ野球ドラフト会議

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 リポビタンD」が今日24日に東京都内で開催される。広島は九州共立大・大瀬良大地投手(4年=長崎日大)を1位指名することが最有力となった。23日、都内ホテルでスカウト会議を開催。続投が決まった野村謙二郎監督(47)も参加した。即戦力であることを最重要視する方針を固めたもよう。ただ、左腕の横浜商大・岩貞祐太投手(4年=必由館)を一本釣りする可能性を残し、最終決定はドラフト開始直前となる。

 悪夢を払拭(ふっしょく)する。広島の1位指名最有力は、大学NO・1右腕の九州共立大・大瀬良だ。ドラフト前日のドラフト会議。続投が決まった野村監督も参加した。現場の意見として深刻な左腕不足を報告したが、それ以上に強く申し出たのは「開幕から働けること」だった。即戦力であることを最重要視する方針となったもようだ。

 広島との縁も感じる逸材だ。長崎日大時代は長崎県大会準々決勝で、清峰・今村(現広島)に3-1で投げ勝ち、甲子園に出場。プロから注目される存在となった。そして今月13日のこと。広島出身の野球部員に誘われ、マツダスタジアムで行われた阪神とのCSファーストステージ第2戦のパブリックビューイングに足を運んでいた。球団首脳は「縁があるのかもしれんの」とほほを緩める。ただし、最速153キロ右腕を獲得するには、阪神、ヤクルトなどとの競合が予想される。

 よみがえるのは、1年前の悪夢だ。亜大・東浜(現ソフトバンク)を最有力としながら、前日のスカウト会議で松田オーナーが「バシッと、もりで行こうじゃないか!」と東福岡の左腕、森の一本釣りを明言した。そしてドラフト当日、野村監督は楽天星野監督に「競合だな」と宣戦布告され、ふたを開ければ抽選を外す。本番直前に1位指名を決めたライバルに“強奪”される形となった。さらに外れ1位も、即戦力右腕NTT西日本・増田が西武と競合となり、獲得できず。球団にとってはトラウマとなる“事件”だった。

 苑田スカウト統括部長は「1位で必要とあれば、競合も覚悟する」と強気な姿勢を見せるが、同じ過ちを繰り返さないためにも慎重な姿勢は崩さない。松田オーナーは「(最終決定は)3時以降よ」と、ドラフト会議の2時間前まで最終決定を遅らせると言った。前日までに1位指名が決まらないのは、希望入団枠が廃止された07年以降初めてのこと。競合となった場合は担当スカウトが抽選を行うプランもあり、何もかもが異例だ。競合を避け大学NO・1左腕の横浜商大・岩貞の一本釣りを狙う可能性も残る。あわただしいドラフトの結末やいかに。

 ◆大瀬良大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日、長崎県生まれ。霧島国分西小4年から「国分西野球少年団」で野球を始め、同5年から投手。霧島国分南中では投手と内野手兼任。長崎日大では2年秋からエースになり、3年夏に甲子園出場。九州共立大では1年春に新人賞受賞。2年春から3季連続MVP受賞。2年時に日米大学野球で日本代表。3年時はアジア選手権で社会人と合同の日本代表。187センチ、89キロ。右投げ右打ち。