“ロールキャベツ系右腕”が新人王を目指す。日本ハムのドラフト2位、セガサミー・浦野博司投手(24=愛知学院大)が13日、都内の同社で契約金8000万円、年俸940万円で仮契約した(金額は推定)。一見物静かな草食系男子だが、マウンドでは最速151キロ直球とキレのあるスライダー、フォークで、おとこ気満点の投球を見せる。

 仮契約が終了し、用意されたボールに目標を書くよう指示された浦野の視線は、宙を泳いだ。10秒、20秒…。たまりかねた今成スカウトが「新人王って書けよ!」と尻をたたいた。「(書くのが)恥ずかしかったというわけではないんですが…。あんまり大きいことも言えない…。そんな簡単に取れるものではないので…」。ドラフト2位でプロの世界に飛び込む右腕には似つかわしくない、控えめな口ぶりだ。

 日本ハムは最下位の今季、2ケタ勝利投手はゼロ。投手陣の底上げを期待されても「いや、僕なんてそんな…。自分が、とかは思わないです…」。会社は日本ハムの本拠地・北海道でゴルフのセガサミーカップを開催している。同大会は長嶋茂雄氏が名誉会長に名を連ねるが「自分は長嶋さんみたいにはなれないです…」とここでも腰が引けた。

 だが“キャベツ”の中は熱く煮えたぎっている。150キロ超えの速球と変化球のコンビネーションは、先発、中継ぎと幅広い可能性を期待されている。10月の東アジア大会(中国・天津)では優勝した日本代表の一員として、決勝の韓国戦の先発も任された逸材。「評価をしていただいているので、結果を出さないといけない。チームにしっかり貢献したいです」。ひとたびマウンドに上がれば、肉汁ならぬ闘志があふれ出す。【本間翼】