<明治神宮大会:亜大5-1桐蔭横浜大>◇19日◇大学の部準決勝◇神宮

 期待の若鯉が日本一に王手をかけた。広島2位の九里亜蓮投手(22=岡山理大付)を擁する亜大(東都大学)が、明治神宮野球大会準決勝で連覇を目指した桐蔭横浜大(関東5連盟第1代表)を延長タイブレークで下し、7年ぶりの優勝にあと1勝に迫った。先発の九里は7回途中1失点降板も、昨年自身が投げて敗れた相手にチームとしてリベンジ。2年前の明大・野村祐輔と同じ秋の学生王者を手土産に入団する。

 日本一まで、あと一泳ぎだ。昨年の覇者・桐蔭横浜大との準決勝は、1-1のまま延長戦に突入。タイブレークとなった10回1死満塁の攻撃で4点を勝ち越し、裏は救援の山崎康晃(3年=帝京)が無得点に抑えた。「チームが勝ったんで本当によかった。打ってくれた野手、抑えてくれた山崎に感謝です」。三塁側ベンチから整列に飛び出す九里の足も、弾んだ。

 「1日たりとも忘れたことがない」。昨年11月13日、明治神宮野球大会準決勝で桐蔭横浜大に0-2で敗れた。責任投手は先発の九里。6回2/3、2失点でマウンドを下りた。無念の降板が、成長を促す力になった。東浜巨(ソフトバンク)に代わる新エースとして戦国東都で5連覇。広島2位という高評価を受けた成長も、11・13が原点だった。

 だが、今年も7回超えを果たせなかった。4回に1点の援護をもらいながら、7回1死からの四球と連打で追いつかれた。6回1/3、1失点で、マウンドを山崎に譲った。「ツーシームが高めに浮いてしまった。きょうは全然だめでしたが、7回は悪いところばかり出ました」。秋季リーグ戦の国学院大戦9回から続けてきた連続無失点は、23イニングで途切れた。ベンチ裏に駆け込み、気持ちを静め、仲間の応援に頭と心を切り替えた。タイブレークの先制攻撃に、ベンチ最前列でこぶしを握った。

 神宮に足を運んだ川端編成部長は「大学なら大学、プロならプロと、進んだ世界への適応力を持っている。相手打者のタイミングを外す、正確なコントロール、その次がスピードと、投球に必要なことの順序を知っている。うちの野村に通じる力。もちろん即戦力の先発候補と期待しています」と評した。カープでは野村以来の秋の神宮優勝投手へあと1勝。相手は野村の母校・明大だ。「持っているものすべてをぶつけたい。最後は勝って終わりたい」。2013年のアマ野球を締めくくるマウンドが、九里を待つ。【堀まどか】