<東京6大学野球:立大5-3早大>◇第6週第1日◇18日◇神宮

 早大のドラフト1位候補で、156キロ右腕の有原航平投手(4年=広陵)が今季初先発し、23日に控えるドラフト会議を前に日米13球団のスカウトの前でデモンストレーションを行った。右肘の違和感のため、今季は9月28日明大2回戦で3回を投げて以来2試合目の登板で、先発は5月31日慶大1回戦以来のこと。6回7安打4失点し負け投手になったが、巨人スカウトのスピードガンでは最速150キロを計測し、復活をアピールした。

 みんな、待っていた。有原がまっさらなマウンドに上がると、いつも通り、右腕をゆったりと振り下ろした。柔らかい動作とは裏腹に、力強い直球がミットに収まった。先頭の立大・大城を3球三振に切って取ると、初回から最速147キロを軽々と投じ、3者凡退に抑えた。

 2回に本塁打され初安打を許すと、ポーカーフェースのエースのギアが入った。1失点しなおも2死走者なし。7番田中和のカウント2-1から、2球続けて149キロを計測。変化球で空振り三振に仕留め、追加点は許さなかった。「打たれちゃいけないという感じで自然と(気合が)入りました」と、感覚を取り戻した。

 5月31日慶大1回戦以来の先発は6回7安打3四球4失点。「真っすぐが走らない中でしっかり抑えようと思いましたが、自分の投球ができずに悔しい」と、辛口で110球を振り返ったが、巨人スカウトのスピードガンでは最速150キロを計測。完調でない中、ツーシームを軸に緩急織り交ぜた投球で日米13球団、編成トップを含む約40人のスカウト陣をうならせた。

 志願の登板だった。岡村猛監督(59)は「木曜日の練習後、本人から『先発したい』というような話があった」と明かした。入学後、肘の違和感は初めて。ブルペンは週1回、調整程度しか入れていなかった。投げ込めていない分、不安はあったが、もう関係なかった。「大事な試合なので行かせて下さい」と、奮い立った。

 今日早大が勝ち、3回戦へ進めば23日のドラフト会議前に、もう1度先発する機会がくる。「真っすぐを投げてこそ変化球が生きてくる。残り(試合は)少ないですが、いい状態になるよう頑張りたいです」。復活したエースは、再び右腕を振る機会がやってくることを願った。【和田美保】