開幕に照準だ!

 中日中田賢一投手(26)が9日、名古屋市内の球団事務所で2度目の契約更改交渉を行い、今季年俸から1300万円ダウンの7200万円でサインした。阪神、巨人戦11試合に登板したことが認められ、前回提示から200万円上積みとなった。会見で来季開幕投手について「僕の基準はそこではないけど、やれと言われればしっかりやっていきたい」と明言。FA宣言した川上憲伸投手(33)の去就が決まらない中、エース級の活躍を胸に誓った。

 ドラゴンズのエースナンバー「20」を背負う中田が、開幕戦への覚悟を口にした。「僕の中での基準はそこにはないですが、なかなかできない場所ではあるし、やれと言われればしっかりやっていきたい」。これまでローテーションを守ることに集中し、開幕戦登板には無関心を貫いてきた。その思いは変わらないが、4年連続開幕投手を務めてきた川上のFA移籍が濃厚。チームのピンチに、言葉を選びながら前向きな姿勢を示した。

 この日の契約更改交渉でも、エース級の期待を示された。今季は7勝9敗、防御率4・65に終わったが、阪神、巨人戦11試合に登板し、そのうち先発が10試合あった。いずれもチェンに次ぐチーム2番目の数字。中日では開幕戦に投げることとTG戦に多く投げることがエースの証明。これを再評価され、前回提示より200万円上積みとなった。交渉役の井手編成担当は「中田もそういう投手になってきた。やって当たり前だと思っている。エース級になってもらわないと困るし、TGを倒してもらわないと」と期待を込めた。

 中田の来季にかける思いは強い。05年のルーキーイヤーから8勝3敗、7勝4敗、14勝8敗と3年連続で勝ち越したが、今季はプロ4年目で初めて7勝9敗と負け越した。登板の多かった阪神戦、巨人戦で本来のキラーぶりを発揮できず、2勝ずつしか挙げられなかったことが響いた。「エースへのこだわりはないですが、そういう場面、試合でも結果を出さないといけない立場。そう周りから言われるように、それを目指してやっていきたい。今年は満足できる1年ではなかった。4年間、大事なところで投げさせてもらっているという自覚を持って、オフの間にしっかり考え直したい」。そう、力を込めた。

 来季5年目の中田は自らの右腕でチームを引っ張る覚悟だ。落合監督の開幕投手指名に備え、まずは4月3日横浜戦(ナゴヤドーム)に向け状態を上げていく。【福岡吉央】