2人のベテラン右腕を厳冬更改が直撃した。阪神福原忍投手(32)と金村暁投手(33)が8日、西宮市内の球団事務所で交渉に臨んだ。福原は46%ダウンの年俸3900万円、金村暁は37・5%ダウンの同4500万円でサイン。ともに年俸1億円以下の選手に定められた減額制限25%を大幅に超える減俸を受け入れた。同じ76年生まれの2人は来季へ、悲壮な覚悟を口にした。(金額は推定)

 阪神福原は“ダブル”で減額制限を超える大減俸を受け入れた。今季年俸7200万円から3900万円での更改。減額制限は年俸1億円以下の選手で25%、同1億円以上で40%と定められているが、福原は1億円以下から46%減という異例の条件でサインした。

 「自分は結果を出していない。何年も結果を出していない。とにかく1年間、何とかローテを守って投げたい」と悲壮な覚悟を口にした。今季は14試合登板で3勝10敗、防御率4・84。06年に12勝を挙げた右腕は、それ以降3年間で合計わずか8勝に終わっている。

 球団との下交渉で「(大減俸を)初めて見た時は『えっ』と思った」という。ただこの日は代理人を同席させずに約20分間でスピード決着。「今日はもうサインするつもりできた。今日から来季に向けて始まっている」と切り替えた。沼沢球団本部長は「本人の了承があれば、減額幅を超えられるというルールがありますので」と説明した。

 プロ12年目は復活をかけるために、今オフには甲子園と鳴尾浜での「原点回帰トレーニング」も視野に入れている。「まだいろいろ考え中だけど、一からスタートするという意味もある」。今月28日で33歳の誕生日を迎える右腕は「先発という気持ちはあるが、これはチームが決めること。言われたところで(投げる)というのもあります。結果が出るように頑張るだけ」。異例の大減俸を受け入れて、巻き返しを誓っていた。【益田一弘】