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勝敗を分けた延長戦

延長15回一挙8点タフなマシンガン打線

延長15回、6時間13分で横浜が14対6で広島を破ったことを示すスコアボード
延長15回、6時間13分で横浜が14対6で広島を破ったことを示すスコアボード

 試合が終わったのは午前0時15分だった。1998年(平10)8月9日に広島・福山市民球場で行われた横浜対広島の22回戦。6時間13分という超ロングゲームを制したのは横浜(現DeNA)だった。プロ野球史上3位という長さを記録した。

 序盤から打ち合いとなり、横浜は4回までに毎回得点の6点を挙げた。しかし、先発した三浦大輔が5回までに5失点と踏ん張れなかった。8回終了時点でスコアは6―6。そのまま延長に入った。双方決め手を欠いて手詰まり状態のままスコアボードにゼロが並んだ。

 試合が動いたのは延長15回。6回以降、快音はなかったが、ようやく「マシンガン打線」が爆発した。1死満塁から暴投で勝ち越すと、さらに3連打、敵失。1死満塁からはロバート・ローズの走者一掃の二塁打などで、一挙8得点を挙げ、14―6で勝利した。

 8番打者としてフル出場し、15回に得点を挙げた進藤達哉(現DeNA打撃コーチ兼作戦担当)は「延長戦になると球場の雰囲気が変わるし、ピリピリムードというか重い空気が流れる。でも守備で『打球が飛んでくるな』ということは思わなかった。どれだけ今まで通りやるかということを考えてやってた気がする。打撃でも同じ。平常心で打席に入ってたし、回ってこいと思ってた」。

直近4戦で18時間半 長いほど強さ発揮

延長15回、14対6で広島を破り喜び合う横浜ナイン
延長15回、14対6で広島を破り喜び合う横浜ナイン

 2日がかりでつかんだ1勝だった。試合開始から日にちは変わり、ようやく勝利が決まった。当時の権藤博監督は、ナインの1人1人に「ご苦労さん」と声をかけながら握手を交わした。体力、集中力、持続力、すべての面で相手に勝っていた。

 この試合の3日前の6日、阪神戦(横浜)でも5時間17分に及ぶ試合をしており、ここ4試合で18時間34分を戦っていた。試合が長くなればなるほど、強さを発揮する。タフネス軍団ならではの勝利だった。

 進藤コーチ 試合が長くなればなるほど、みんな集中してたんじゃないか。良い試合をしてるから時間は長くなるし、ドラマがある。延長を勝った時の喜びは大きいし、達成感が大きかったな。

 最後まで残った観客は2割程度。15回の目が覚めるような攻撃を見られた人はほとんどいなかった。

 進藤コーチ 野球は最後まで何があるか分からないからね。接戦だと回を重ねるごとに球場に緊張感が走るし、それがなおさらおもしろい。延長に入ればもっとおもしろいんだよね。【細江純平】

不動のクリーンアップへカギは梶谷、筒香

クリーンアップの一角を担うDeNA筒香嘉智
クリーンアップの一角を担うDeNA筒香嘉智

 4番の前後を打つ3番梶谷、5番筒香が得点力アップのポイントとなる。4番のブランコは左大腿(だいたい)二頭筋の肉離れで2軍で調整中だが、5月中旬には復帰予定。この3人がそろえば、間違いなく爆発力は増す。

 昨季、4番ブランコは固定できたが3番、5番は日替わり状態が続いた。セ・リーグトップの2割6分2厘のチーム打率を残すも、主軸を入れ替わりで安定感を欠いた打線は勝利につながらなかった。中畑監督は「3番、5番が機能すればチームは必ず強くなる。チームの運命を分けるくらいのところまできた」と不動のクリーンアップ形成に手応えを示した。

 投手陣も尚成、久保、モスコーソが加入したことで昨季より厚みが増した。中畑監督就任3年目と勝負の年でもあるだけに梶谷、筒香の奮起を願う。2人がクリーンアップに定着し、機能すれば初のCS進出も見えてくる。

DeNA担当記者

細江純平(ほそえ・じゅんぺい)
細江純平(ほそえ・じゅんぺい)
 1989年(平元)6月9日、岐阜県下呂市生まれ。愛工大名電-法大を経て12年に入社。高3の夏、エースとして甲子園出場。大学では1年春にベンチ入りするも伸び悩み、記者の道へ。入社後は文化社会部に所属し、吉本興業、スターダストなどの事務所を担当。14年1月から野球部異動。


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