第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補の日本ハム中田翔内野手(23)が、一人二役で侍の座を射止める。6日、沖縄・名護で今キャンプ初めて一塁守備の特守に挑戦。強肩を生かしてレフトに定着した中田だが、実はファースト守備もお手の物。WBC代表の緒方耕一外野守備走塁コーチが見守る中、約1時間の“鬼ノック”を受け、内外野こなせる意外性?

 を披露した。

 3箱半分、約770球のノックの雨が、休みなく背番号6に降り注いだ。最初の30分こそ3人で受けていたノックも、後半30分はたったの2人。「クッソきつかった。ひと息つく暇もないもん」。途中で腰を押さえ「痛てて」とアピールしたが、ノッカーの三木内野守備コーチに「お前、そこ痛めたことないやろ」とあっさり演技を見破られた。「見せ練(見せるための練習)のつもりやったけど、あれは見せ練の域を超えていた」と冗談を飛ばした中田だったが、ハンドリングに定評のある一塁守備を、侍コーチにアピールする絶好の機会となった。

 緒方コーチは「(代表候補の中で)一塁本職は稲葉しかいない。うまいなら、最終メンバーに残る確率も上がるだろう。内外野こなせる選手は貴重」。昨季リーグ断トツの19補殺を誇った左翼守備に加え、一塁守備も大きな武器となる。キャンプ初日から使っている侍仕様のファーストミットも、いい具合になじんできた。念願の最終メンバー入りへ、着々と準備は進んでいる。【中島宙恵】

 ◆中田の守備位置

 WBC日本代表候補では外野手登録。内野手登録の日本ハムでは、これまで一塁と外野を守っている。外野の295試合はすべて左翼で出場。外野では11年11補殺、12年19補殺を記録し、2年続けてパ・リーグ外野手の「補殺王」となる。昨年の19補殺は東急時代の47年大下に並ぶ球団記録で、中継なしの直接送球で14度アウトにした。一塁は通算73試合を守り、失策は10年9月11日ソフトバンク戦の1個だけ。ちなみに、2軍では08年に三塁も守っている。

 ◆WBC代表候補での中田

 日本ハムでは左翼手だが、代表ではライバルがひしめく。外野手は7人が選出されており、15日からの宮崎合宿で1人が最終メンバーから落選。中堅は巨人長野、右翼はオリックス糸井のレギュラー起用は濃厚で、残るポストは左翼のみ。ソフトバンク内川、中日大島と実績ある巧打者も、中田とともに有力なスタメン候補とみられている。中田は、今回の陣容では貴重な右のパワー打者。伸び盛りの資質を評価している山本監督がDHを含めて起用法を模索しており、経験ある一塁での起用も視野に入れる。日本ハム稲葉が一塁手の本命だが、相手投手が左腕のケースなども想定。中田が一塁可能ならば打線のバリエーションも広がり、侍ジャパンにはプラスになる。