<WBC強化試合:日本代表候補0-7広島>◇17日◇サンマリン宮崎

 広島の先発として登板した前田健太投手(24)は、2回先頭内川と糸井に連打を浴びるとスイッチを入れた。続く中田の打席で、セットポジションからこの日最速の138キロをマーク。1死一、三塁となると、一塁走者の糸井を2度のけん制でくぎ付けにする。稲葉を計算通りにツーシームで二ゴロ併殺に打ち取り、無失点で切り抜けた。グラブをたたきながらマウンドを降りる表情には、安堵(あんど)感が漂っていた。「不安はありました。相手も相手だし、今の状況で抑えられるかどうかと。胸を借りて、0に抑えられたのは良かった」と素直な思いを口にした。

 代表合宿が始まった15日から投手陣で唯一、ブルペン投球を行わず、14日の紅白戦以来の「ぶっつけ」登板となった。右肩への負担を軽減するため、走者のいない場面では力を抑えた。直球は130キロ台前半で、フォームのバランスを崩し制球を乱す場面もあったが、無失点という結果にこだわった。WBC球では、2度登板した広島での紅白戦から6回連続の無失点だ。

 登板後は「つかんだ感じがあります」と、山本監督に思いを伝えた。調整遅れを心配する首脳陣への意思表示だ。次回登板は23、24日のオーストラリアとの壮行試合(京セラドーム大阪)となる見込み。有力視される第1ラウンド3月3日中国戦の最終調整となる。

 「自分のペースを上げていくだけ。もっと納得いく、キレのある球を投げて0に抑えたい」と言うように、待ちに待った世界の舞台が目の前に迫っている。次はマウンドで代表ユニホームをまとう。よぎる不安を打ち消し、本番モードに突入させる。【鎌田真一郎】