絶好調ではせ参じる。侍ジャパンの西武秋山翔吾外野手(28)が19日、南郷キャンプ最終日の紅白戦で3安打猛打賞を決めた。前日18日は本塁打を放つなど仕上がり順調で、2試合続けて盗塁も決めた。侍ジャパン唯一のメジャーリーガーであるアストロズ青木宣親外野手(35)は、同じ好打者タイプの左打ち外野手。定位置確保へ大先輩に挑む。

 物足りなかった。秋山は3本とも2球目にタイミングを合わせ、ライナーを打ち分けた。18日の本塁打も初球を仕留めた。それでも「3本打ったのはいいが、内容はまだ。(菊池)雄星を打てなかったのは残念だった」と、第1打席の強い一ゴロを気にした。

 侍ジャパン小久保監督から伝えられた「試合のできる体で侍の合宿へ」の言葉を、忠実に守った。2試合続けて盗塁を成功。5回には、二塁へ向かった自分の走路が正しいかどうか審判に確認した。今季から併殺崩しのスライディングが禁止され、走塁にもチェックが入る。守備妨害にならないよう気を配るまで心身は研ぎ澄まされた。「問題ないとのことでした。体がどこも痛くない。集中できました。(キャンプ地の)南郷で、もう後悔はない」。準備は整った。

 侍ジャパンの外野陣は強力だ。強打を誇る筒香、鈴木の両翼。加えてメジャーから参戦する青木がいる。シーズン200安打をクリアした左打ちは、もろにタイプがかぶる。西武キャンプを視察した監督は「秋山はレフトの守備でも。ゲームを締める役割は、彼抜きでは語れない」と、守備固めとしての起用も示唆した。しかし「まだまだ詰めていかないと」と貪欲な今の秋山は、どう考えてもベンチに置いておくのは惜しい状態にある。

 うれしい悩みを提供するほどチーム力は上向く。高知へ移動する西武の本隊は、秋山を手締めの輪の真ん中へ招いた。「西武の代表として、日本の代表として頑張ってきます」と言い、握手で送り出された。南郷に2日間こもって振り込み、万全で乗り込む。【宮下敬至】