遠藤がはじめて大銀杏(おおいちょう)を結った今場所、逸ノ城がちょんまげの先を切ったのに気づいた人は、どれぐらいいるだろうか。大銀杏が結えるまでには、ちょんまげから約1年といわれる。湊部屋の床山・床盛は「先を切ることで、伸びるのが速くなるんです。関取は伸びるのが速いほう。早ければ秋巡業のころには大銀杏が結えるかもしれないですね」と説明した。残暑の季節にはお披露目となりそうだ。

 床山は毎日まげを結うが、兄弟子が手取り足取り教えてくれるわけではない。技術を目で盗むため、心労も多い。それだけではない。まげの先を切る作業は験直しにも使われ、若い衆の中には取組で負けると切る者も多い。通常3~4日に1度しか洗髪しないが、負けると洗い流す者もいる。逸ノ城も前日に7敗目を喫したが、洗髪で験直しをして7勝目。千秋楽に勝ち越しをかける。

 床山の世界では、一人前になるまで10~15年かかると言われる。その間、どれだけまげの先を切ってきたか。「勝負は一瞬だから、精神面は大事。仕方ないですよ」と床盛。勝負の裏で、床山の仕事も左右されている。【桑原亮】