2015年の大相撲が終わった。「大相撲大賞」では、相撲担当が協力して調べた今年1年のさまざまな記録を取り上げたものの、実はもろもろの事情で“はまらなかった”ものもある。年間の白星にまつわる記録や、各力士の取組時間などを少し、ここでご紹介。

 受ける印象は違うかもしれないが、自分は少ないなと思ったのが、今年の6場所をすべて勝ち越した力士だった。照ノ富士と稀勢の里の2大関だけ。三役以下で勝ち越し続けるのは難しいが、3横綱4大関時代では少し寂しく感じる。やはり3横綱がそれぞれ休場を経験したのが大きかった。

 では、5場所勝ち越した力士は…とみると、6人いた。横綱白鵬や、琴奨菊と豪栄道の2大関、上位食いで土俵を沸かせた栃煌山と嘉風の三役経験者。そんな実力者の彼らに交じってただ1人、平幕だけしか経験していない琴勇輝が入っていた。九州場所でも、自己最高位の前頭6枚目で8勝を挙げている。

 その琴勇輝は木村記者によると、今年「もっとも少ない決まり手」で戦った力士だった。押し出し、突き出し、突き落とし、はたき込み、押し倒し、突き倒しの「6」。わずか6手だけで5場所を勝ち越した…とみると、その1手、1手がより力強く、精練されているように思えてくる。

 続いて取組時間を見てみると、今年もっとも長く土俵に立ち続けたのは照ノ富士だった。合計2314・5秒。逸ノ城と2度も水入りを経験したこともあって、40分近かった。昨年1年間では、もっとも長かった高安が23分余り。照ノ富士の長さが、際立っている。

 そんな取組時間の見方を少し変えてみた。勝った取組と、負けた取組の平均時間をそれぞれ算出する。すると大砂嵐は、勝った相撲は12秒39で終えているのに対して、負けが22秒32もかかり、もっとも「差」があった。取組が長ければ長いほど勝ちが遠ざかる。まさかの疲れ損? 来年はなんとか、粘りが報われる1年になってほしいもので…。【今村健人】