今年の春場所は、昼前から楽しめそうだ。昨年導入された「三段目最下位格付け出し」を初めて承認された近大出身の石橋広暉(22=高砂)と、東農大出身の小柳亮太(22=時津風)が満を持してデビューする。石橋は昨年の全日本選手権3位で、小柳は同ベスト8の逸材。ともにスピード出世を見込める素材だけに、三段目の取組に足を運んで相撲を見る価値はありそうだ。
続く幕下の上位にも、新十両を狙える楽しみな力士がそろった。東幕下3枚目の大翔鵬(22=追手風)はモンゴル生まれで小学校時代に早々と来日、千葉・流山南高では元十両阿炎と同学年で腕を磨いていた。
同4枚目の白鷹山(20=高田川)は185センチ、150キロ以上の体を生かした押し相撲が武器だ。西3枚目の照強(21=伊勢ケ浜)は、阪神淡路大震災が起こった95年1月17日に兵庫・淡路島で生まれたことで知られている。169センチと小柄ながら負けん気の強さと豊富な稽古量で、関取目前の地位まで上がってきた。笑うと愛くるしい同5枚目の栃丸(23=春日野)は激しい突き押しが得意。初場所は8人による幕下優勝決定戦を制し、自信をつけてきた。
その栃丸に、決定戦の決勝で惜しくも敗れたのが、奇手の居反りを得意とする宇良(23=木瀬)だ。それでも、宇良は今場所、西2枚目まで番付を上げて、5勝すれば新十両昇進が近づく地位まできた。関学大を出て昨年春場所で初土俵を踏み、序ノ口から先場所までの通算成績は32勝3敗。172センチと小柄ながら、ウエートトレーニングで上半身を鍛え上げてきた。場所ごとにパワーアップし、関取経験者や大型力士と対戦しても力で圧倒されることはなくなってきた。
大阪・寝屋川市出身の宇良にとって、春場所はご当所。10日に初めてまげを結う予定で、ちょんまげ姿での地元の土俵はなおさら力も入ることだろう。得意の居反りはプロ入り後1回も出ていない。対戦相手からすれば「何をするか分からない」というイメージを持つのは当然。だが、そうして慎重になると、宇良の一気の押しが決まることもある。宇良本人も奇手より、基本の「押し」にこだわっており「全部押しで勝てるレベルにならないと、関取ではやってられない」という信念を持つ。
琴奨菊の綱とり、十両遠藤の復調ぶりも楽しみだが、今年の春は幕下以下の相撲も熱く盛り上がりそうだ。【木村有三】

