北京五輪柔道金メダルの総合格闘家・石井慧(28)が15日、現役続行を決断した。

 IGF3大会出場のためオランダから帰国した8日に、成田空港で「勝っても負けてもこれが最後」と、引退をほのめかす発言をしていた。この日午後3時から、東京・渋谷のケイダッシュ事務所で川村龍夫会長(74)と会談した石井は、同会長の熱い説得を受け、総合格闘家続行の道を選んだ。

 会談後の石井は、晴れ晴れとした表情で「また頑張っていこうと思った」と話した。川村会長からは「柔道で世界一になったんだから、格闘技でも世界一を目指せ。勝負事に絶対ということはない」と説得された。

 昨年大みそかのミルコ・クロコップ戦で完敗し、同年8月に続き2連敗を喫した。「人一倍きつい、つらい練習をしてきた」という石井は自信を失い「もう自分には期待しない」と、投げやりな発言もした。しかし、11日のIGF3で、196センチのロズボロウに完勝。その際のファンからの大声援が、失いかけた石井の闘争心を取り戻させた。

 「本当にやめようと思ったけど、ファンの声が温かく、リングでのあいさつもしてない」と石井は言う。今後は「世界に目を向け、再チャレンジしたい」と決意を話した。IGFのサイモン・ケリー・猪木取締役は石井が現役続行なら、8月のIGF4大会にオファーを出す意向。海外からのオファーも事務所には届いている。石井が世界へ向けて再び動きだす。【桝田朗】