弟よ、母よ、見てくれたか-。プロ3戦目の服部力斗(20=大成)が、ソリミン・ソワノ(24=インドネシア)を3-0の判定で下し、デビュー3連勝を飾った。

 プロボクサーだった弟の海斗さんが、2月24日に慢性骨髄性白血病で死去(享年17)。3月4日には、最愛の母佳代さんも肝臓の病気で亡くした(享年45)。立て続けに襲ってきた深い悲しみを乗り越えてリングに立った服部は、勝利の瞬間、号泣。「弟が亡くなって、すぐにこの試合に出ようって決めてから、1回も泣かんと練習を必死に頑張って、勝ってからみんなで泣こうと言ってました。僕、格好良かったですか?」と、観客に向かって絶叫した。

 リングシューズと、トランクスには「KAITO」の文字を縫い込んだ。「このシューズとトランクスは、海斗にプレゼントします。向こう(天国)ではいてくれると思うから」。端正なマスクを崩した20歳は「我慢してたものが全部出た」と、天国の弟と母を思いあふれた涙をぬぐった。