IBF世界スーパーバンタム級1位和気慎吾(28=古口)が17日、同級2位グスマン(27=ドミニカ共和国)との王座決定戦(20日、エディオンアリーナ大阪)に向け、都内で予備検診に臨んだ。大阪市内で受診したグスマンを挑発するなど、リラックスムードで仕上がりの良さを強調した。検診結果は両選手とも異常なかった。

 初の世界挑戦を3日後に控えても、和気は余裕十分だった。トレードマークのリーゼントで決め、「不良」と書かれたTシャツ姿で登場。検診を終え、この日がグスマンの誕生日だったことを知ると「お祝いしてあげないと。俺のパンチを見舞ってあげますよ」と挑発的に切り返した。自身の視力は両目ともに2・0。「ナンパで鍛えたおかげ」と笑いを誘い、和やかな表情のまま会場を後にした。

 一世一代の舞台には「勝負服」で上がる。試合に向け、入場時に着用するガウンを新調。高校時代に「暴走行為」で岡山少年鑑別所に入ったこともある元不良少年とあり、当時と似た真っ赤な「特攻服」スタイルに仕上がった。制作を担当したジム関係者は「やんちゃだった少年が、ボクシングでここまできた。そういう意地を見せてほしいという思いを込めて作った」と説明した。

 デビューから10年。実績を重ね、ようやくつかんだチャンス。当時の服に記されていたおびただしい漢字は、多くのスポンサーの名前に変わった。和気は「着た瞬間にスイッチが入った。ベルトを取って、応援してくれる人に恩返ししたい」と言葉に力を込めた。

 派手な言動とは異なり、断食やヨガも取り入れるなど日頃から体調管理を徹底してきた。「コンディションは最高。あとはリングに上がって大暴れするだけ」。心身の準備を整え、ゴングを待つ。【奥山将志】