WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が「変幻戦法」で相手を崩す。3度目の防衛戦(4日、神奈川・スカイアリーナ座間)の予備検診が1日に都内で行われ、挑戦者の同級1位ペッチバンボーンと対面。相手が防御に回ってくるパターンを想定し、本来の右構えから試合途中で左構えに変える「スイッチ」を練習に取り入れてきた。2戦ぶりのKO勝利にも意欲を見せ、万全の仕上がりをアピールした。
検診を終えた井上は、初めて顔を合わせたペッチバンボーンに小さく会釈した。16連勝中のランキング1位挑戦者を相手にも、過剰な気負いはない。「体重もリミット近くまできているし、コンディションはばっちり」。短くそう語ると、足早に会場を後にした。
挑戦者陣営から「井上の研究は完璧だ。すべてはリング上で分かる」と自信満々にけん制されたが、相手の計算を狂わせる「秘策」を用意してきた。試合に向けた3分×5回のスパーリング。最初の2回を通常通り右で戦うと、3回のゴングと同時に左にスイッチ。パートナーを右ジャブでけん制し、終盤にはサウスポーのような強烈な左ストレートを突き刺した。
井上 世界戦も今回で6試合目。相手も研究してくるし、引き出しは多い方が良い。右で崩しにくいときに左で目先を変えたい。防御の歯車を少しでも狂わせられれば、右に戻した時にも効果が出る
5月のV2戦が世界戦で初の判定決着に終わったこともあり、KOへの思いは強い。「ファンの方に喜んでもらえるような試合をしたい」。左右を巧みに使い分け、相手のガードをこじ開ける。【奥山将志】

