WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が6回1分1秒、TKO勝ちで4度目の防衛に成功した。前WBA世界同級王者河野公平(36=ワタナベ)と対戦。6回に強烈なカウンターの左フックでダウンを奪うと、再開後に一気の連打。2度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めた。

 河野がキャンバスに沈んだ。失神状態だった。6回の序盤、ともに放った左のパンチ。相打ちと思った瞬間、井上のフックが先に当たって1回目のダウン。ぎりぎりまで回復を待って立ち上がったが、井上のラッシュに耐える力は残っていなかった。

 プロ16年、43戦目で初のTKO負けだった。河野は「井上君はやっぱりうわさどおりすごかった。ジャブが右ストレートみたいに強かった」と完敗を認めた。8月に統一戦に敗れWBA世界スーパーフライ級王座から陥落。引退も考えたときに、井上陣営から防衛戦のオファーをもらった。「もう1度世界戦ができて、モチベーションが最高に上がってここまできた。できることはすべてやってきた」と、この一戦に懸けていた。

 3回までは、井上の強烈なボディーに「倒されちゃうかな」と弱気になった。そこから接近戦で持ち直し、井上に右フックを何度も当てた。井上のボディーにも慣れ、ここからというときにカウンターに沈んだ。今後について「ちょっと休んで考えたい」と河野。渡辺会長は「もうやることもやったから、(引退で)いいんじゃないか」と引退させる意向を示した。【桝田朗】