ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が絶対王者の敗戦にプラン変更を強いられることになった。18日(日本時間19日)に米ニューヨークで開催されたWBC世界同級王座戦で、4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)が、元王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)に0-2の判定で敗戦。プロ47戦目で初黒星を喫し、初防衛に失敗した。年末の対戦を見据えていた井上は「言葉が見つからない」と肩を落とした。

 ゴンサレスは1回にダウンを奪われると、3回に偶然のバッティングで右眉をカットし、流血が止まらなかった。中継したWOWOWでゲスト出演した井上が「スーパーフライ級では押し切れない部分があった」と分析したように、階級を上げたことで相手もゴンサレスのパンチを耐える場面が多かった。得意の流れるような連打で接近戦で打ち合ったが、軍配は挑戦者に上がった。

 米老舗専門誌「リングマガジン」選定の「パウンド・フォー・パウンド」(全階級通じての最強選手)1位の通称ロマゴンのまさかの敗北。強い選手を求めてきた井上は昨年9月のゴンサレスの王座戦を現地観戦したほど。「負けるのはここではないと思っていた」「(自分は)やれるならスーパーフライでやりますが、無理なら階級を上げる」。標的がいなくなったことで、今後の計画を再考することになる。まずは5月に予定されるV5戦(対戦相手は未定)での勝利を目指す。【阿部健吾】