ボクシングの元WBC世界フライ級王者五十嵐俊幸(33=帝拳)が、再び世界の頂点に立つために負けられない前哨戦に臨む。

 「ダイナミックグローブ560」(4月1日、東京・後楽園ホール)の前日計量が31日に都内のJBCで行われ、フライ級10回戦に臨む五十嵐が50・8キロのリミット一杯、IBF、WBO世界フライ級10位ミゲール・カルタヘナ(米国)が50・6キロでパスした。

 13年4月8日、初防衛戦で八重樫東(大橋)にWBCのベルトを奪われてから、4年近くが過ぎる。以降は1階級上のスーパーフライ級に上げて2階級制覇を目指してきたが、ぶつかったのは力の壁だった。「どうしても、もともとパワーがないので、差を強く感じる部分があった」。体格の有利を生かせるのは、かつて王者となった階級と心を定め、再びフライ級を主戦場にする気持ちを固めた。今試合が実に4年ぶりの同級でのリングとなる。

 世界ランカーと対戦するのも、八重樫に敗れて以来となる。「一筋縄ではいかない」と気は引き締めるが、普段の食生活の節制を徹底した結果、かつてほどの減量苦にも悩まされず、直前まで練習に励めた手応えも大きい。表情もげっそりした感じはなく、口調も滑らかだった。最新ランクではWBOのフライ級で2位から1位に上がった。「これこそ前哨戦。しっかり勝ちたい。次は世界と言ってもらえる戦いをしたい」と士気を高めた。