パワーアップした仙女のエースが、満を持してリングに帰ってくる-。26日の復帰戦(Zepp

 Sendai)に臨む仙台女子プロレスの里村明衣子(28)が21日、仙台市内の道場で練習を公開した。右目のケガから約1年。ムエタイ修行や、入院中に支えてくれた人たちからもらった不屈の精神を胸に、強敵アジャ・コング(38=OZアカデミー)には「負ける気がしない」と言い切った。

 ばんそうこうをしていない方の里村の左目は、ギラギラ輝いていた。「これまでで一番、リングに上がりたい思いが強い。この1年の意味を、お見せしたい」。昨年10月5日、JWPとの団体対抗戦でアジャ・コング。あれから約1年。5日後に控えた復帰戦を前に、自信満々に意気込みを語った。

 レベルアップした姿を見せつける。10月10日から、タイのゲオサムリットジムでムエタイ修行。視察程度だった5月に比べ、今回は10日間、1日約6時間もみっちり練習で汗を流した。「蹴りに、だいぶスピードがついた。何とか試合に生かせれば」と里村。帰国直前には現地の試合への出場を勧められるほど、本場仕込みのキックを習得した。

 心も強くなった。右目の手術は3度受けたが、入院中には同じ患者から励まされた。特に同じ病室で、がん治療を受けていた男性患者の姿は「私の苦しみなんか小さかった。人の痛みを知ることができたのは大きかった」と心にしみた。今はその男性患者も退院し、復帰戦では応援に来てくれる。恩返しを果たすための復帰でもある。

 苦難を克服した里村にとって、強敵アジャは怖くない。

 里村

 ほかの相手なら私を「ケガをした選手」と見るけど、アジャなら容赦なく来る。今の精神状態として、怖いものはない。負ける気はしないです。私が中途半端なら、逆につぶしてほしい。

 右目は再び攻撃を受ければ失明の恐れもあるが、当日は眼帯もしないという。仙女のエースとして、あるべき姿を見せつける。【由本裕貴】

 ☆里村復帰までの足跡☆◆故障

 07年10月5日、JWPの日向あずみから、顔面にランニングニーを受け救急車で仙台市内の病院へ。右目の眼球を覆う厚さ1ミリの骨が欠け落ち、同月中に2度の手術を受ける。◆現場復帰

 12月5日、道場に復帰し後輩6人を指導。「まだものが二重に見える」。◆最後の手術

 08年1月下旬、3度目の手術。◆義援金

 7月11日、6月の岩手・宮城内陸地震で被災した宮城・栗原市役所を訪問し、22万1768円の義援金を手渡した。◆復帰決定

 8月21日、復帰戦の日程が決定。同25日には相手がアジャに決まり、引退を勧告してきた相手に「できるもんなら、やってみろ!

 人にやられて引退するくらいなら、自分から引退してる」と応戦。