WBC世界フェザー級3位粟生隆寛(24=帝拳)が、「脱力防御」で王座を奪う。同級王者オスカー・ラリオス(32=メキシコ)戦に向けて2日、都内の帝拳ジムで5ラウンドのスパーリングを行い、両肩の力を抜いた自然体の構えで、メキシコ人パートナーの連打を滑らかな体の動きで外し続けた。ロープ際で6連打される場面でも、パンチの芯を外し、逆にカウンターの左フックを当てた。本田明彦会長も「あれができるのは日本で粟生だけ。度胸がないとできない」とうなった。

 昨年10月の世界初挑戦はダウンを奪いながらも、中盤以降は王者ラリオスに足を使われ、細かいパンチを浴び悔しい判定負け。微妙な回はほとんどポイントを取られていた。しかし、力の抜けた動きを貫ければ、防御の質を左右するスタミナを温存できる。柔らかな「アンタッチャブル防御」で、粟生が王者のパンチを最後まで空転させて王座をつかむ。【森本隆】