【ドイツ・クレーフェルト24日=大塚淳通信員】WBA世界ミドル級14位佐藤幸治(28=帝拳)に強力助っ人がつく。25日(日本時間26日)に当地で、王者フェリックス・シュトルム(30=ドイツ)に挑戦する。この日は計量が行われ、両者ともに1回でパスした。佐藤陣営では急きょ兄賢治さん(30)がセコンドへ入ることになった。同じ西武台千葉、日大出身でアマ全日本王者となった元プロボクサー。敵地で劣勢の戦いの中で、何よりの力になるはずだ。

 佐藤は1発で計量をパスした。王者が72・1キロと抑えめに対して72・4キロ。現地入り翌20日にはステーキを平らげ「こんなにうまくいったことはない」というほど順調だった。田中トレーナーも「いつも試合前はフラフラだが、今回はミットでもパンチがキレている。怖いぐらい」と話す。

 佐藤にはさらに、何より心強い味方がつく。兄賢治さんがセコンドに入る。帝拳ジムは現在世界王者3人を抱える。リナレスと西岡は防衛戦を控え、派遣できるスタッフが限られた。そこで応援に駆けつける賢治さんに、白羽の矢が立った。

 賢治さんは西武台千葉から日大と進み、全日本を制して三迫ジムに入門した。佐藤がボクシングを始めて同じ学校に進んだのも、兄の練習見学がきっかけ。高校時代には自宅でスパーリング。畳の上に歯や血が落ちていたこともあった。

 賢治さんはプロでは5戦で引退。それだけに弟を気にかけ、要請も喜んで引き受けた。4人兄弟すべてボクシング経験者。佐藤は「力強い限り。必ずベルトを持って一緒に帰る」と力が入る。王者は佐藤より長身と思われたが、ほとんど同じだった。追い風が吹いている。