WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(29=真正)が18日、5連続KOで10連続防衛に成功した。

 母裕美子さん(54)は「ホッとしたら緊張の糸が切れちゃいまして…。ありがとう、と言いたいです」と号泣した。

 3年ほど前にがんを患った。約300万円かかる放射線治療も行い、現在も2週間に1度、1日かけて抗がん剤治療を受ける。先月、肺にあった3つの「影」のうち、最大のものが消えていたという。

 長谷川は3男2女の5人きょうだいで、上から2番目の長男。10度目の防衛戦が決まった時、照れながら言われた。「試合が終わったら一緒に旅行行こか」。うれしかった。試合後は決まって妻子と旅行に行っていた息子の誘いを、裕美子さんは「初めてなんですよ!

 あの子が誘ってきたの」と興奮気味に話す。

 「どこ行きたい?」。

 「北海道」。

 「寒いから嫌やわ…」。

 行く先は未定。進展もないという。「あの子はすぐ忘れるんですよ。でも、今回は逃がしませんよ」という裕美子さんは「どこでもいいんです。一緒に行ければ」。うれしそうに笑った。